始めに
道尾秀介『ラットマン』感想レビューを書いていきます。ネタバレ解説はこちら。
| ランク |
| A(おまけ) |
基本情報
あらすじ
結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件によるメンバーの死に遭遇します。
次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。やがて亮が秘めてきた過去の記憶が呼び覚まされます。
著者
1975年東京生まれ。04年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年には『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞。
所感
本格として
主要作品を読んで、本作が道尾ミステリの最高傑作と評価しています。とにかく着想やコンセプトが素晴らしく、粗は目立つものの優れています。叙述やミスリードもふくんださまざまなすれ違いが織りなすメロドラマは、メロドラマとしての感動とミステリとしての驚きが有機的に結びついていると評価でします。
他方で、やっぱり悪いところもたくさん目につきます。メロドラマが物語の中心なのに、人物描写が薄っぺらく、主人公たちも三十過ぎなんですが、男(女性キャラは少なく善玉悪玉のコントラストが大きいから区別できるが魅力的ではない)は読んでたら誰がだれかわからずしかも大学生くらいかと思ってしまって、三十過ぎに見えなかったです。でもバンドやってる人たちって結構そうなのかもしれず、この辺りはまあ評価を避けます。とはいえ、この作者の作品は登場人物がコテコテで現実感がないことが多いです。
叙述トリックやすれ違いの演出にしても、フェアではあるものの、落語とか演劇みたいなあり得ないレベルのすれ違いもあって、普通そこで会話して誤解するはずないだろ、と思った箇所がありました。全体的に無理があるすれちがいが多くて、そのあたりがメロドラマの枷になってもやもやします。
あと二転三転してハッピーエンドになるものの肩透かしで、本作に関しては無理に明るい終わりにしなくともよかったかもです。
文章
個人的にはこの人の書く文章がちょっと苦手です。キザで気取った感じが鼻について苦手です。
ただこのあたりは好みも大きいでしょう




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