始めに
ラディゲ『肉体の悪魔』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
古典主義(コクトー、コンスタン、ラファイエット夫人、ミュッセ)
ラディゲはコクトー(『恐るべき子供たち』)などのモダニスト、シュルレアリストと親交があって、前衛的な文学的潮流と接触していたものの、本人はフランスの心理小説(コンスタン『アドルフ』、ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』)やミュッセの古典主義風のロマン主義文学に習いつつ、古典的な小説スタイルでもって小説を展開していきました。
本作もクラシックな心理小説『クレーヴの奥方』の翻案として、メロドラマを展開します。
自伝的作品
本作はラディゲの自伝的小説で、自身の恋愛が下敷きになっています。
第一次大戦ごろのリセでの不倫の悲劇的な恋愛を描く内容になっています。
肉体的世界
本作は原題が”Le Diable au corps”なのですが、これはもともと熟語みたいな感じで、それを無理やり直訳した感じのタイトルが『肉体の悪魔』です。「魔に憑かれて」が、正確な直訳です。
『肉体の悪魔』は『ローマの休日』にも似ていて、誤訳に近いのになんかしっくり妙にくる訳で、日本でも本作や本作に影響された田村泰次郎に『肉体の悪魔』があり、また『肉体の門』というこれまたパワーワード気味な作品もあって映画化も何度かされています。
戦前戦後はモダニズムの中でも、セリーヌ(『夜の果てへの旅』)やミラー(『北回帰線』)やシュルレリズムなど、その身体性を特徴とする作品が目立っていきますが、戦後日本では自由主義的なムードの中で恋愛や性的な自由が謳われ、本作のようなセンセーショナルな性的世界は持て囃されていきました。
物語世界
あらすじ
第一次大戦終わりごろ。
パリ近郊のリセに通うフランソワ・ジャベールは学校に開設された臨時病院の見習看護婦マルトと知り合います。彼女は出征兵ラコンブ軍曹と婚約していました。二人の恋は、マルトの母の介入もあって妨害され、やがてマルトはラコンブと結婚します。
半年後、再び二人は惹かれます。フランソワはかくれてマルトのアパートを訪れるようになります。やがてマルトは妊娠します。こうしてついにマルトは夫にすべて任せようとします。
別れの宴をレストランで過した二人は、はじめてデートしたカフェに出かけ、そこで終戦を知ります。やがて産褥によりマルトは死にます。
参考文献
・江口 清 『天の手袋―ラディゲの評伝』




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