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ソフォクレス『オイディプス王』解説あらすじ

ソフォクレス
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始めに

 ソフォクレス『オイディプス王』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

運命と自由

 運命と自由意思が中心的なテーマです。親を殺し、母を妻にするという恐ろしい神託から逃れようと、オイディプスもその両親も必死に抗います。運命を避けようとする行動そのものが、皮肉にも神託を成就させるステップになってしまいます。どんなに知恵があり、善政を敷く王であっても、神が定めた過酷な運命の前では無力であるという絶望的な対比が描かれています。


​ ​物語全体に視力に関する強烈な皮肉が散りばめられています。身体的な目は見えているオイディプスは、自分自身の正体という真実に対しては盲目です。逆に、盲目の預言者テイレシアスは、物理的な光を失っていながら世界の真実をはっきりと見通しています。最終的に真実を知ったオイディプスが自らの目を潰す行為は、肉体的な視力を捨てることで、ようやく精神的な真理に到達したことを象徴しています。

慢心と破滅

 ​オイディプスは、かつてスフィンクスの謎を解いた知者としての自負があります。国を救うために犯人を執拗に追跡しますが、その追跡は自分は何者かという自己発見の旅へと変貌します。知らなければ幸せでいられたかもしれない真実を、自らの意志で暴いてしまう。人間の知りたいという欲求が、同時に破滅を招くというパラドックスが描かれています。


​ ​オイディプスは立派な王ですが、同時に自分の知性と能力を過信しています。自分の力で運命を変えられると信じたその慢心が、悲劇をより深いものにします。絶頂にいた者が、わずか一日でどん底まで転落する様子を通じて、人間の幸福がいかに脆いものであるかを観客に突きつけます。

物語世界

あらすじ

 ギリシャの都市テーバイでは、原因不明の疫病が蔓延していました。名君として知られる国王オイディプスは、国を救うために義弟クレオンをデルポイの神託所に送ります。神託の内容は「先王ライオスを殺害した犯人を突き止め、追放あるいは死刑にせよ。さすれば災厄は止む」というもの。​オイディプスは正義感に燃え、「私が必ず犯人を見つけ出し、呪いを与えてやる」と民衆に誓います。


​ ​オイディプスは、真相を知るという盲目の預言者テイレシアスを呼び出します。しかし、テイレシアスは重い口を開こうとしません。怒ったオイディプスが彼を問い詰めると、預言者は恐ろしい言葉を放ちます。​「お前自身が、お前の捜している犯人なのだ」と。オイディプスはこれを王位を狙うクレオンとテイレシアスの陰謀だと一蹴しますが、心のどこかで不安が芽生え始めます。


​ ​不安がるオイディプスをなだめるため、妻の王妃イオカステは神託なんて当たらないものよと語りかけます。イオカステによればかつて先王ライオスも『息子に殺される』という神託を受けたけれど、息子は捨てたし、ライオスは三叉路で野盗に殺されたのだそうです。「三叉路」という言葉に、オイディプスは聞き覚えがありました。かつてテーバイに来る道中、傲慢な老人一行と喧嘩になり、返り討ちにした記憶が蘇ります。


​ ​そこへ、オイディプスの故郷コリントスから父王が亡くなったという報せが届きます。父を殺すという神託から逃げ出してきたオイディプスは一瞬安堵しますが、使者の口から衝撃の事実が告げられます。 「実は、あなたはコリントスの王の実子ではなく、山で拾われた子だったのです」と。かつて赤ん坊のオイディプスを山に捨てた羊飼いが呼び出され、すべてのピースが繋がります。​オイディプスの正体は先王ライオスと王妃イオカステの間に生まれた実子でした。道中で殺した老人は実の父ライオスであり、今隣にいる妻は実の母イオカステでした。


​ ​真実を知ったイオカステは絶望のあまり自死を遂げます。妻(母)の遺体を見つけたオイディプスは、彼女の服のブローチを引き抜き、自らの両目を突き刺します。こんな無残な現実など、もはや見るに値しないという絶望の表明でした。


​ 彼は盲目の乞食となり、娘アンティゴネに手を引かれながら、住み慣れたテーバイを去って放浪の旅へと出ます。

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