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フィッツジェラルド『グレート=ギャッツビー』解説あらすじ

S=フィッツジェラルド
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はじめに

フィッツジェラルド『グレート=ギャッツビー』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

ポー、キプリング、ワイルド、テニスンの影響。象徴主義的ペシミズムとロマン

 フィッツジェラルドはポー(『アッシャー家の崩壊』)、キプリング、ワイルド(『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』)、テニスンなどからの影響を好んでおり、ペシミスティックな世界観が特徴的です。

 本作もポー『群衆の人』のような、生活の孤独を描きます。

コンラッド、ワイルド、アナトール=フランス的リアリズム

 フィッツジェラルドはまた、コンラッド、アナトール=フランス風のリアリズムからの影響が顕著で、特にコンラッドからは強い影響を受けています。

 コンラッドはフランス文学から顕著な影響を受けました。とくにフローベール(『ボヴァリー夫人』『感情教育』)やその弟子モーパッサン(『脂肪の塊』『女の一生』)のリアリズム文学、自然主義文学を好み、フローベール『ボヴァリー夫人』的な、ブルジョワ社会における自己実現をめぐった栄光への野心と破滅の主題は、『闇の奥』においてもクルツの絶頂と破滅という形で継承されています。

 本作においてもそれと同様に、ギャッツビーというキャラクターの栄光と孤独、そして破滅が描かれていきます。

 また、作品のタイトルはフルニエ『モーヌの大将』から取っており、作品のテーマとしてもそちらとの類似が顕著です。

語りの構造

 語り手のニック=キャラウェイは、イェール大学を卒業後従軍し、休戦後に故郷の中西部へと帰りますが、孤独を感じウェスト=エッグに移ります。そこで主人公であるギャッツビーに出会うのでした。

 この語り手は『闇の奥』の語り手のように、当人はあまり物語の中にコミットしません。ギャッツビーの栄光と孤独を相対的な視点で捉えるためのキャラクターとして設定されています。

伝記的背景

 プリンストン大学2年生の時、フィッツジェラルドはクリスマス休暇中にミネソタ州セントポールの実家に戻り、そこで18歳の作家志望の彼は、シカゴでデビューした16歳のジネヴラ=キングと恋します。しかし彼女の上流階級の家族は、スコットが他の裕福な求婚者に比べて下層階級の身分であることを理由に拒否します。その後フィッツジェラルドは、第一次世界大戦中にアメリカ陸軍に入隊します。

 キャンプ=シェリダンでの訓練中、フィッツジェラルドはモントゴメリー=カントリー=クラブにおいてゼルダ=セイヤーと出会います。1919年2月フィッツジェラルドが陸軍を除隊すると2人は婚約し、ニューヨークで広告代理店に務めコピーライターとなります。しかしその生活力に疑問を抱いたゼルダは婚約を解消し、フィツジェラルドは勤務先を退職し、セントポールの両親の家へ戻ります。

 セントポールでフィッツジェラルドは『ロマンティック=エゴティスト』の推敲をし、原稿はスクリブナーズへと送られます。翌1920年3月に『楽園のこちら側』として本作が出版されると、ベストセラーになり、ゼルダとも復縁します。

 こうした恋愛経験を踏まえて、本作の悲恋は描かれています。

物語世界

あらすじ

 1922年、狂騒の20年代のアメリカ。語り手のニック=キャラウェイは、イェール大学を卒業後従軍し、休戦後に故郷の中西部へと帰りますが、孤独を感じます。証券会社で働くことを口実に、彼はニューヨーク郊外のロングアイランドにあるウェスト=エッグへうつります。

 ある晩、彼は大学時代の友人トム=ブキャナンと、その妻デイジーの家に招かれます。しかし彼らの結婚がうまくいっていないと知ります。

 また隣の大邸宅に住むジェイ=ギャツビーは、毎夜豪華なパーティーを開いていました。ある日ニックはそのパーティーに招かれます。しかし、パーティーの参加者たちもギャツビーについてよく知りませんでした。

 ニックはギャツビーと親交を深めていき、またギャツビーとデイジーはニックを通じて再開し、二人の恋愛が復活します。

 イーストエッグに帰る途中、ギャツビーとデイジーはウィルソンのガレージのそばを車で通っていたところ、誤ってマートルに衝突し、彼女を轢き殺してしまいます。デイジーが車を運転していたことをニックにギャッツビーは明かすものの、事故の責任を被ろうとします。

 そんななか、マートルの夫であるジョージ=ウィルソンはトムにマートルを殺したのは、ギャツビーだと教えられます。ジョージはギャツビー宅のプールでギャツビーを射殺し、自殺します。

参考文献

・アンドルー ターンブル (著), 永岡 定夫 (翻訳), 坪井 清彦 (翻訳)『フィッツジェラルド伝: 完訳』

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