はじめに
フルニエ『モーヌの大将』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
語りの構造
フランソワ=スーレルの語りにより、その友人オーギュスタン=モーヌの青春を描きます。主人公はタイトルにもなっているモーヌですが、語り手はフランソワです。
フィッツジェラルド『グレート=ギャツビー』のタイトルが本作にちなんだものであることがよく知られていますが、あの作品と語りの構造やテーマはかなり似てます。
気分屋で直情的でロマンティックなモーヌは、ロマンチックな理想や手に入らないものをずっと追い求めています。結局モーヌは愛するイヴォンヌに巡り合って結ばれたのに逃げ出してしまい、そんな中、イヴォンヌは女児を産んで死にます。
作品背景
フランソワ=スーレル、モーヌ、フランツといったメインキャラクターは、いずれも作者の分身のような人物です。
イヴォンヌ=ド=ガレは、19 歳のときにフルニエが出会い、恋に落ち、その後行方不明になったイヴォンヌ=ド=キエーヴルクールをモデルにしています。モーヌが再びイヴォンヌを探す旅は、1905 年から 1907 年にかけてパリでアラン=フルニエが行った旅と似ていますが、フルニエが彼女を見つけたとき、イヴォンヌは既婚でした。
物語世界
あらすじ
語り手である 15 歳のフランソワ=スーレルは、フランス中部の湖と砂の森のあるソローニュ地方の小さな村にある男女共学の学校の校長スーレル氏の息子です。フランソワは、質素な家庭出身の聡明な若者、17 歳のオーギュスタン=モーヌが学校にやって来たとき、彼に惹かれます。高身長で、モーヌは「グラン」(「背が高い」) というあだ名が付けられます。
モーヌはクラスの英雄的となり、ある晩道に迷った後、仮装パーティーに偶然出くわします。そこで、モーヌの大将はイヴォンヌ=ド=ガレに魅了されます。イヴォンヌは未亡人の父親と兄のフランツと共に、かつては栄えていた広大な古い一族の城、レ=サブロニエールで暮らします。パーティーはフランツと彼の結婚相手であるヴァレンタインの歓迎のために開かれていたものの彼女が現れないため、フランツは自殺を企図して失敗します。
学校に戻った後、モーヌは謎めいた城とイヴォンヌの捜索に取り憑かれます。しかし失敗に終わり、やがてある青年が学校に現れます。それは、失恋から逃れて別名を名乗るフランツ=ド=ガレーでした。フランツ、モーヌ、フランソワは友人になり、フランツはモーヌにパリの家の住所を教え、そこでモーヌは妹のイヴォンヌ=ド=ガレーを見つけようとします。
モーヌはパリへ出発するものの、その家にはもう誰も住んでいませんでした。
フランソワは、父親と同じく教師となり、ついにイヴォンヌ=ド=ガレーを見つけ、モーヌと再会させます。イヴォンヌは、サブロニエールの跡地に年老いた父親と暮らしていました。イヴォンヌは独身で、モーヌに、彼がずっと自分の生涯の恋人だったと告げます。
イヴォンヌはモーヌのプロポーズを受け入れるものの、モーヌは落ち着かず、結婚式の翌日にイヴォンヌのもとを去り、行方不明になったフランツを探し、婚約者のヴァレンタインと再会させます。イヴォンヌは城で女の子を出産するものの、2日後に亡くなります。
フランソワはモーヌとイヴォンヌが住んでいた家に住み、モーヌの帰りを待ちながら、イヴォンヌの遺児を育てます。やがてフランソワはモーヌの手書きの日記を見つけ、パリにいた数年間 、モーヌはパーティーの夜にフランツを捨てた婚約者ヴァレンタインと出会い、恋愛関係になったと知ります。
モーヌは1年8か月してフランツとヴァレンタインの仲を修復して戻ります。モーヌはイヴォンヌが亡くなっており、娘だけが残されたと知り、彼女を引き取ります。



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