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メリメ『マテオ・ファルコーネ』解説あらすじ

メリメ
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始めに

 メリメ『マテオ・ファルコーネ』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

メリメの作家性

 メリメは、19世紀フランス文学を代表する作家・知識人で、簡潔で冷徹、皮肉に満ちた散文と、エキゾティシズムと暴力を乾いた筆致で描く短編で知られています。

 ロマン主義の時代に位置づけられますが、むしろ古典主義的な抑制と写実的観察を重視します。

 語り手はしばしば観察者・学者・旅行者を装い、距離を保つ枠物語的な意匠が採られ、ゴシック文脈の影響をうかがわせます。

因習の制度論

 『マテオ・ファルコーネ』で上位に置かれるのは「家名」であり、共同体における信用・評判の制度です。

 父マテオが息子を殺すのは、息子を憎んだからでも家族を軽んじたからでもありません。家名が失効すると、一家そのものが共同体から排除されるからです。

 コルシカ社会では、法は外部的で弱く、治安は共同体内部の相互監視で保たれ、信用は生存条件そのものです。だから家名を失うことは破滅を意味します。

 マテオは父としてではなく、家名の管理者として行為し、それを傷つけた息子のフォルトゥナートを自ら殺めるのでした。

物語世界

あらすじ

 マテオ=ファルコーネは、コルシカ島の逃亡者がよく訪れる険しい地域に住む地主であり、狙撃手でもあります。ある日、彼は羊の群れの視察に出かけ、10歳の息子フォルトゥナートに家を任せます。

 留守中に、指名手配犯のジャネットが通りかかり、マテオの評判を知っていた彼は、家に隠れることを申し出ます。フォルトゥナートはためらうものの、ジャネットから銀貨を差し出されたことで承諾します。

 間もなく、フォルトゥナートの遠縁のティオドロに率いられた一団の兵士が到着します。ティオドロはジャンネットについて尋問し、その答えに納得せず、家の捜索を命じます。誰も見つからなかったため、ジャンネットと引き換えに自分の銀時計を提供します。フォルトゥナートはしかし、犯人の隠れ場所を明かしてしまいます。

 兵士たちがジャネットを逮捕するのに忙しい中、マテオと妻が戻ってきます。ティオドロがマテオにジャネットが捕まった経緯を熱心に語る一方で、ジャネットは自分の家を裏切り者の家だと非難します。激怒したマテオは兵士たちが去るのを待ち、フォルトゥナートに近くの渓谷へ連れて行くよう命じます。

 そこでマテオはフォルトゥナートに祈りを捧げるよう命じ、彼を射殺します。家に戻ったマテオは妻に、正義は果たされたと告げ、義理の息子を引き取ると告げるのでした。

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