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サガン『ブラームスはお好き』解説あらすじ

フランソワ=サガン
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始めに

 サガン『ブラームスはお好き』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

サガンの作家性

 サガンはカミュ、サルトルの実存主義やプルースト、コクトーなどのモダニズムに影響されました。


​ プルーストの代表作は『失われた時を求めて』ですが、本名フランソワーズ=クアゼだったサガンは、プルーストの作品に登場するサガン公爵夫人から名前を取りました。時間や反ブルジョワ的テーマなどは重なりますが、カポーティ、三島や堀辰雄に似て、スタイルの方ではプルースト的な実験的語りはあまり設定しない傾向にあります。


​​ サガンはまた、コクトーの難解なことを軽やかに表現するスタイルを愛しました。彼女の文章のシンプルさと洗練は、コクトーの美学から引き継がれたものです。


​ サガンの作品に漂う虚無感や不条理(無意味)に対する冷めた視点は、カミュの実存主義の影響が色濃いと言われています。サガンはサルトルの実存主義にも強く惹かれ、後に個人的な親交も結びました。


 他にも​スタンダールの心理主義やジュネのモダニズムからも刺激を受けました。

タイトルの意味

 主人公ポーは39歳。長年の恋人ロジェの浮気に悩み、孤独を感じながらも、彼との関係を断ち切ることができません。ロジェとの関係は、もはや情熱ではなく共有した時間や気心の知れた安心感に基づいています。彼女は愛されている確信がないまま、彼を待つ時間の寂しさに慣れきってしまっています。サガンはここで、人は愛がなくても、馴染んだ苦痛(習慣)の方を選んでしまうのではないかという鋭い問いを投げかけています。


​ 青年シモンがポーを演奏会に誘うとき、手紙に書いたのが「ブラームスはお好き?」です。この問いを突きつけられたとき、ポーは自分は最近、音楽を聴いたり、自分自身の好みで行動したりしていたかと自問します。​ロジェの所有物のような存在になっていた彼女にとって、シモンの誘いは一人の独立した人間としての感性を取り戻させる刺激でした。


 ​ブラームスのロマンチックな旋律は、ポーが忘れかけていた情熱や繊細な感情の象徴として使われています。シモンはポーに対して献身的で、ストレートな愛を捧げます。しかし、その純粋さは、39歳のポーにとっては救いであると同時に、耐えがたい重荷でもありました。若いシモンの情熱に応えるには、ポーはあまりに疲れ、人生を知りすぎていました。


 結局、彼女はシモンの愛よりも、自分を裏切り続けるロジェの不誠実な親密さに戻ってしまいます。人は自由(新しい愛)よりも、自分を形作ってしまった過去(古い習慣)を捨てられないという悲劇を描きます。

物語世界

あらすじ

 39歳のパウルは、離婚歴のあるインテリアデザイナーです。重要な取引を担当する恋人のロジェは、めったに彼女を訪ねてこず、彼女はそれをある種の怠惰な様子で待ち望んでいます。彼女はロジェとの関係を大切にしながらも、同時に自立と自由も守りたいと思っています。ロジェに無意味な浮気をさせるのではなく、もっと彼と関係を深め、もっと親密になりたいと願うこともあります。

 どこか満たされない気持ちを抱えていた彼女は、裕福なアメリカ人顧客、ヴァン=デル=ベッシュ夫人の息子、サイモンと出会います。25歳の彼はハンサムで、気さくで、ボーイッシュです。彼は​​パウルに夢中になり、求愛し、情熱的な恋に落ちます。パウルは彼の愛情に心を打たれるものの、ある日、彼からサル=プレイエルでのブラームスのコンサートに誘われるまでは距離を置きます。彼の繊細な魂に惹かれたパウルは、数週間の間、若者の情熱に身を委ねます。

 パウルはやがて、ロジャーへの愛こそが、何よりも大切なものであることに気づきます。年齢差に対する社会の非難に直面し、彼女はサイモンの深く美しい悲しみを羨みながら、彼との関係を終わらせます。しかし、全ての絆を断ち切るだけの力は彼女にはなく、若いサイモンと再び出会い、同時にロジャーともより充実した関係を築いていくのでした。

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