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開高健「裸の王様」解説あらすじ

開高健
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始めに

 開高健「裸の王様」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

行動主義の作家として

 開高健はリルケやサルトルからのつよい影響が知られますが、作品のスタイルの点で2人と似ているかというと微妙なところです。

 サルトルからは行動派的な感覚を養い、ドキュメンタリーに見える手法と重なりますが、自分で直接海外に出向いて取材し、創作の糧としました。

 狩猟(釣りですが)を好んだことといいよくそうしたスタイルはヘミングウェイと重ねられますが、翻訳を手がけたオーウェルのリベラリズムとも重なります。

 サルトルの他に『パニック』は同じく実存主義のカミュの影響がよく言われます。

英文学とピカレスクの伝統

 ヘミングウェイの位置する英米文学は、ピカレスクというスペインの文学ジャンルからの影響が顕著です。ピカレスクは、アウトローを主人公とする文学ジャンルです。ピカレスクは「悪漢小説」とも訳されますが、傾向としてピカレスクの主人公は悪人ではなく、アウトローではあっても、正義や人情に篤く、その視点から世俗の偽善や悪を批判的に描きます。高倉健のヤクザ映画みたいな感じで、主人公はアウトローだけど善玉、みたいな傾向が強いです。

 このピカレスクから英文学は顕著な影響をうけ、しかしフィールディング『トム=ジョーンズ』などを皮切りに、ピカレスクに刺激されつつも、それを英文学固有の表現として継承していきました。デフォー『モル=フランダーズ』なども有名です。

 本作もそのようなピカレスクのモードと重なり、世間の偽善を嘲笑する主人公の機知が見て取れます。

タイトルの意味

 友人で小学校教師の山口に、担任の生徒である大田太郎の絵画教育を語り手の僕の画塾に委託されます。僕は実際に太郎に描かせますが、どれも人間がおらず発想に拡がりのない類型的な画しか描けません。ある日、僕は新聞記事からヒントを得て、デンマークの児童美術協会宛に子供が描いたアンデルセン童話を素材にした挿絵の交換企画を提案する手紙を送り、二通目で同意の返信があります。

 ある月曜日の夜、突然車に送られて太郎は僕の家に訪れます。僕は談笑する中、太郎が描いた画の一枚を見て哄笑します。そこにはちょんまげで越中ふんどしを締めた裸の男が、松並木の堀端を闊歩していました。それは僕があえて生徒らに時代や国を略して話した裸の王様を画にしたものでした。それを見て僕は、交流のなかで太郎に創造力が付いたことを見出します。

 しばらくして僕は大田氏に招かれて児童画コンクールの審査会場に行き、太郎が「裸の王様」を描いた画を名を伏せて審査員達に見せます。辛辣な意見を述べる彼らに反感を抱いた僕は、この画は自分の画塾に通う大田の息子が描いたと明かします。審査員達には気まずい空気があり、離れた場所にいた大田に目礼して退出するのでした。

 全体的にアンデルセン『裸の王様』をモチーフにオマージュをして、ロマン主義的テーマを展開しています。

物語世界

あらすじ

 友人で小学校教師の山口に、担任の生徒である大田太郎の絵画教育を語り手の僕の画塾に委託されます。僕は実際に太郎に描かせますが、どれも人間がおらず発想に拡がりのない類型的な画しか描けません。

 そんなある日、塾で生徒の一人が小川でかいぼりをしてエビガニを釣った話しているのを聞いた太郎は、田舎でスルメを使ってエビガニを釣っていたことを呟きます。

 それを耳にした僕は翌日、太郎を川原に誘います。太郎は期待通り懸命に小魚を取ろうと藻と泥にまみれるのでした。

 ある日、僕は新聞記事からヒントを得て、デンマークの児童美術協会宛に子供が描いたアンデルセン童話を素材にした挿絵の交換企画を提案する手紙を送り、二通目で同意の返信があります。それから一週間ほどして、太郎の父親で画材会社社長の大田氏から電話があり邸に招かれます。彼は画の交換の話を知っていて、同様の企画を提案していたものの先約があると断られます。大田は僕の案を全国の小学校に拡大し、優秀作の表彰を提案します。僕は子供の自由な発想に大人の思惑が介入するのを危惧するものの、実務的な大田に委ねます。

 ある月曜日の夜、突然車に送られて太郎は僕の家に訪れます。僕は談笑する中、太郎が描いた画の一枚を見て哄笑します。そこにはちょんまげで越中ふんどしを締めた裸の男が、松並木の堀端を闊歩していました。それは僕があえて生徒らに時代や国を略して話した裸の王様を画にしたものでした。それを見て僕は太郎に創造力が付いたことを見出します。

 しばらくして僕は大田氏に招かれて児童画コンクールの審査会場に行ったものの、そこには絵本にあるような画ばかりで、子供の現実が出ていないと言い、太郎が「裸の王様」を描いた画を名を伏せて審査員達に見せます。辛辣な意見を述べる彼らに反感を抱いた僕は、この画は自分の画塾に通う大田の息子が描いたと明かします。審査員達には気まずい空気があり、離れた場所にいた大田に目礼して退出していきます。

 僕の憤りは笑いの衝動に代わり、射し込む陽光の中で再び哄笑します。

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