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姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』解説レビュー

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始めに

始めに

少し前の東大で起こった性暴力事件を描いた『彼女は頭が悪いから』が話題になりました。今回はそんな衝撃作を東大生が語っていきたいと思います。

ランク
B

基本情報

あらすじ

東京大学で、ある性暴力事件が起こりました。それが報道された時、世間が攻撃したのはなぜか被害者の方だったのでした。被害者・美咲と加害者・つばさの生い立ちと事件前後を描いていきます。

語りの構造、背景知識

異質物語世界の語り

この作品は異質物語世界の語り手が設定され、加害者の東大生「つばさ」と被害者の女子大生「美咲」に主な焦点化が図られ、その生い立ちや周囲の動向が描かれます。

姫野カオルコという作家

 いきなりアレなんですが、まず姫野カオルコという作家はそもそも小説がうまいタイプの人ではないです。というよりむしろ下手で、どちらかというとエッセイの方が面白いです。この作品もそうなのですが、とにかく描き分けとかがすごく不得手なタイプで、読んでいると誰が誰だかわからなくなります。 

 けれども『謎の毒親』あたりがそうなのですが、日常や社会問題に対する解像度の高さのようなものがしばしば伺えて、それが姫野の小説に魅力を与えています。エッセイも、そういう要素があるから読ませるのです。漫画家だと瀧波ユカリと近いでしょうか。

興味深い部分はあれど流石にコテコテすぎる内容

 この作品も、被害者へのセカンドレイプ描写とか、なかなか創作で描いた作品も少ないので生々しく興味深く感じました。けれども全体的にあまりにコテコテすぎるというか、本当に週刊誌の漫画の方がもっと洗練されていて面白いと思える程度のゴシップ小説です。高学歴のコミュニティを描いたものとして桐野夏生『グロテスク』、林真理子『下流の宴』がありますが、これはそれらとずっと見劣りします。

 タイトルも語呂がいいので興味を引くのですが、高学歴の人間の選民思想を象徴しているだけで、特に深い含みは感じません。

 つまり姫野さんの強みである対象への認識の解像度の高さが窺えず、書き分けが下手で誰が誰だかわからなくなる部分が悪目立ちします。

総評

部分的に面白いけれど読みづらく、コテコテ

部分的にはいいけれど、全体的にコテコテでしかも描き分けが下手で読みづらいです。ちょっと今ひとつ。

関連作品、関連おすすめ作品

・桐野夏生『グロテスク』、林真理子『下流の宴』:高学歴の世界を描く風習喜劇

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