PR

芥川「舞踏会」解説あらすじ

芥川龍之介
記事内に広告が含まれています。

始めに

 芥川「舞踏会」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

アナトール=フランス、森鴎外流のヒューマニズムとリリシズム

 芥川龍之介はアナトール=フランスからの影響が顕著で、そこから合理主義的科学的ヒューマニズムを展開していきました。『地獄変』に描かれるテーマを芥川自身の芸術至上主義を体現するものではないと、以前そちらの記事に書きましたが、芥川龍之介は倫理やモラルを重視するヒューマニストです。

 またロマン主義的なリリカルな意匠は手本とした森鴎外からの影響が顕著です。

オスカー=ワイルド、ショーのシニズム

 また芥川龍之介ら新思潮派の作家は、ショー(『ピグマリオン』)やワイルド(『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』)といった英国の演劇から顕著な影響を受けています。

 本作もショーやワイルドを思わせる、シニカルな文明批評の眼差しが特徴です。

ピエール=ロティとは

 本作はピエール=ロティ著『秋の日本』の中の一章「江戸の舞踏会」に着想を得ており、ロティ自身も作品に現れます。

 1896年の天長節の晩、鹿鳴館の大夜会に招かれた娘の明子が、あるフランス人海軍将校に踊りを申し込まれ、儚い花火を2人で眺める過去の恋の物語で、その32年後、老夫人となった明子がその一夜を思い出すという構成です。

 明子はその海軍将校がロティであったと知らず、32年後にふと列車で乗り合わせた青年小説家に、あなたが出会ったのはロティだったのですね、と言われると、ジュリアン=ヴイオ(ロティの本名)という方でしたよ、と返すのでした。

物語世界

あらすじ

 1886年11月3日の夜、明子は父と菊の花で飾られた鹿鳴館の舞踏会へ出かけます。

 薔薇色の舞踏服の明子の美貌は周囲を魅了します。そしてある仏蘭西人の海軍将校が明子に踊りを申し込み、2人はワルツを踊ります。その後、明子が西洋の女性は美しいと言うと将校は首を振り、日本の女の方も美しい、特にあなたは明子を褒め、ワットオの絵の中のお姫様のようだといいます。そパリの舞踏会を見てみたいと言う明子に、将校は、パリの舞踏会も全くこれと同じ事だと言い、パリだけでなくて舞踏会は何処でも同じ事だと独り言のように漏らします。

 明子と将校は、星月夜の露台に腕を組み佇み、夜空を黙って眺める将校に明子は、国のことを思っているのかと尋ねますが、彼は首を振ります。しかし彼は、我々の生のような花火の事を考えていたと、優しく明子の顔を見下しながら伝えます。

 1918年の秋、老いた明子は、鎌倉の別荘へ向かう列車で乗り合わせた青年小説家の持っていた菊の花束をみて、菊の花を見るにつけて思い出す舞踏会のことを彼に語ります。青年作家は、その仏蘭西人将校の名前がJulien Viaudだと聞き、『お菊夫人』のピエール=ロティだったのですね、と興奮ぎみに言いますが、将校の筆名を知らない夫人は、ジュリアン=ヴイオという方だったと、不思議そうに答えるのでした。

参考文献

・進藤純孝『伝記 芥川龍之介』

コメント

タイトルとURLをコピーしました