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ヴェルヌ『十五少年漂流記』解説あらすじ

ジュール=ヴェルヌ
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始めに

 ヴェルヌ『十五少年漂流記』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義

 ヴェルヌはSF小説のルーツとよべる作家です。

 影響を受けたのは特にユゴーで、そのロマン主義から多大な示唆をうけました。ユゴーの作品のような、ダイナミックなプロットやヒューマニズムが特徴です。

 他にヴェルヌに影響を与えたのは、アメリカの作家ポーです。ヴェルヌはポーの論理的・科学的な説明を駆使して、超自然的な現象や冒険を語るスタイルに心酔していました。ポー『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』に深く感銘を受け、数十年後にその続編として『氷のスフィンクス』を執筆しました。

 ​『ロビンソン・クルーソー』の著者であるダニエル・デフォーも、ヴェルヌの創作の源泉です。ヴェルヌは無人島でのサバイバルというテーマ(ロビンソナード)を好み、『神秘の島』や『十五少年漂流記』など、デフォーの系譜を継ぐ作品を多く残しました。​ 

​ 『最後の中モヒカン族』などで知られるアメリカの作家クーパーからは、大自然の中での冒険や、フロンティアスピリットの影響を受けています。

 また小デュマとも繋がりを持ち、影響されました。

冒険小説

 物語は、南太平洋の無人島に取り残された一群の男子生徒らが逆境を乗り越え奮闘する様子を描いています。

 『ロビンソン=クルーソー』のような環境で主人公たち少年らが孤立し、それでも生き残るために知恵と工夫によって乗り越えていきます。

少年たちの試練

 物語の中で、主人公たちが経験する大きな試練は3つあります。

 一つはリーダーである大統領の選挙による、新大統領のブリアンと、それをやっかむドニファンの衝突、そこから発展するグループの軋轢です。

 2つはサプライズになっている、ブリアンの弟ジャックの抱えていた秘密で、少年たちが漂流するきっかけをつくったのがジャックであることが告白されます。

 3つ目は、悪党ウォルストン一味の漂流で、終盤は彼らとの戦いを描く内容になっています。

物語世界

あらすじ

 1860年2月15日。イギリスの植民地であるニュージーランドの首都オークランド市に建つチェアマン寄宿学校は、夏休みになります。100名余りの生徒はみな白人で、ニュージーランドへの移民であるイギリス人、フランス人、ドイツ人、アメリカ人などの子弟です。

 1年生から5年生までの14名の子どもたちは、帆船スルギ号で2か月間のニュージーランド沿岸一周の旅へ出航する予定でしたが、待ちきれずに、全員夜のうちに船に忍びこみます。しかしアクシデントにより、14名の子供と1名の水夫見習いの黒人少年を乗せた船は、船長や船員たちが不在のまま出帆します。

 少年たちを乗せたスルギ号は、とある海岸へと漂着します。赤道近くでは見られない植物があることから、ニュージーランドよりも南極寄りに流されたことだけは分かりました。スルギ号には、2か月分の食料、ピストル、猟銃、散弾銃、信号弾、大砲などの武器、通信用ラッパ、望遠鏡、ゴムボート、寝具、大工道具、針や布、図書室と本などがありました。

 少年たちは海岸から島内へと調査に繰り出します。住まいとしていたスルギ号から探索に向かい、島の奥に洞穴を発見します。中には、テーブルや椅子、ベッドがあり、1冊のノートには1807年という記録や難破船の船名もあります。さらには、かつて島に漂着したフランス人が描いたと思われる地図があり、ここは孤島で、島の中央に大きな湖があり、近くに陸地がないことが判明します。少年たちは、この島を「チェアマン島」、その洞穴を「フレンチ・デン」と名付け、海風や波で傷んでいくスルギ号からこの洞穴に移り住みます。

 年長でリーダー格である3名の少年たちが中心となり、15名の少年の「チェアマン島」での暮らしが始まります。リーダーとして初代大統領を選ぶこととなり、最年長で思慮深く穏健派であるアメリカ人のゴードンが選ばれ、15名の植民地として運営しようとします。

 島での生活も次第に軌道に乗ります。ゴードンは島での生活の日課表を作り、午前と午後の2時間ずつを学習に充て、年長の少年たちが交代で教師をします。さらに少年たちに炊事洗濯を分担させ、寒暖計や気圧計の記録係、日付の記録と時計の管理者を定め、日曜日は休日としました。

 南半球は6月に入ると冬となります。少年たちは厳しい冬を越すために薪を集め、狩りでアザラシの毛皮を手に入れます。また肉を大鍋で煮詰めて照明用の油を作ったり、サトウカエデの樹液を煮詰めて甘味料を作ります。

 厳しい冬を越して1年が過ぎ、ゴードンの任期が満了します。2度目の選挙により、頭の回転が速いフランス人のブリアンが二代目大統領に選ばれます。ブリアンを敵視していた負けず嫌いで居丈高のイギリス人ドニファンですが、得たのは取り巻きの3名の票のみでした。ブリアンとドニファンとの対立は少年たちの間に亀裂をうみ、やがてドニファンは決別を宣言し、仲間を引き連れてフレンチ・デンを出ます。しかし、ブリアンがドニファンの命を救ったことから、2人は和解します。

 やがて出航後からふさぎ込んでいたブリアンの弟ジャックの秘密が明かされます。出航を待ちきれずに、前日の夜に船に乗り込んだ少年たちですが、その時ジャックが、いたずら心から船の手綱を緩めてしまったのでした。漂流の原因はジャックだったのでした。しかし、周囲はこれを乗り越えます。


 島に漂着し1年半経ったころ、少年たちは浜辺でエバンズという男が倒れているのを発見します。森の中でも毛皮を身につけて腰にショールを巻いた婦人のケイトが倒れていました。エバンズらの話によると、彼らはサンフランシスコから商船に乗ってやって来たものの、ウォルストンという水夫が仲間と反乱を起こし、船長らを殺害したのち数日後に火災が発生し、船を捨てたウォルストン一味の7名がボートで「チェアマン島」に流れ着いたそうです。エバンズは船の操舵手で、ウォルストン一味を恐れて逃げてきたそうです。「チェアマン島」がチリ沿岸の島であることを知った少年たちは、エバンズと共闘しウォルストン一味を殲滅しました。

 少年たちは、ウォルストン一味のボートで島を脱出し、遭遇した汽船に収容されます。少年たちは船長の助けで、2年ぶりにオークランドの港に帰ります。オークランド市民は少年たちが全員帰還したことに喜びます。

 1名の少年がチェアマン島でつけていた日記が出版され、全世界の目に触れます。

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