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ゴーゴリ『死せる魂』解説あらすじ

ニコライ=ゴーゴリ
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始めに

ゴーゴリ『死せる魂』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義から写実主義へ

 ゴーゴリはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)、ホフマン、シャミッソーなど、ロマン主義の作家から影響をうけました。

 特に文学的師としたのはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)で、終生影響を受け続けました。

 ゴーゴリ―の後継とみなされたのはドストエフスキーで、ゴーゴリは初期にはホフマンやプーシキンのロマン主義の影響下でウェルメイドなロマン主義的小編をものしていたものの、晩年の本作は本人の精神状態の悪化も相まってアンバランスでグロテスクな写実主義を展開していますが、ドストエフスキーも似たようなキャリアをたどりました。

 本作に描かれる地方の住民はグロテスクなまでに個性的で、写実主義として圧倒的な密度を誇ります。

古典ギリシアローマ、ルネサンス文学、ピカレスクの影響

 『死せる魂』はダンテ『神曲』、セルバンテス『ドン=キホーテ』、ホメロス『イリアス』『オデッセイア』の影響があります。

 特にセルバンテス『ドン=キホーテ』などに代表されるピカレスクのモードからの影響が顕著です。

 ピカレスクは「悪漢小説」とも訳されますが、傾向としてピカレスクの主人公は悪人ではなく、アウトローではあっても、正義や人情に篤く、その視点から世俗の偽善や悪を批判的に描きます。たいてい主人公のアウトローは機転を働かせてなんとかやりくりしていきます。

 本作はピカレスクのパロディで、チチコフという謎の男がピカレスクのアウトローのように機転を働かせて、「死者の魂」(死んだ農奴で書類上の存在)を手に入れることで、それを担保に巨額の融資を受けようとしていたのでしたが、その計画が地主の強欲さや警戒心によって頓挫して転落していくドタバタを描きます。

 

物語世界

あらすじ

第一巻

 中流階級の裕福な中年、チチコフは小さな町にやって来て、地元の役人や地主を魅了して口説きおとします。彼は自分の過去や目的についてほとんど明かさず、「死せる魂」を手に入れる計画を実行に移します。

 当時の政府は地主に対し、所有する農奴の数に基づいて課税していました。このために国勢調査がされたものの、頻繁に行われなかったため、地主はもはや生きていない農奴、つまり「死んだ魂」に対して課税されてしまいました。チチコフが訪問した村々の地主から購入しようとしているのは、書類上だけに存在する死んだ魂であり、地主たちから不必要な税負担を軽減するとしています。

 周辺の領地へ向かう途中、チチコフは、最初は、無知な地方の住民が、わずかな代金と引き換えに、喜んで死者の魂を手放すだろうと思っていました。しかし死者の魂を回収する作業は、地主たちの根強い貪欲さ、警戒心のために難航します。

 それでもなんとか 400 体ほどの魂を手に入れ、売り手に秘密を守るよう誓わせ、町に戻って取引を法的に記録します。

 町に戻ると、チチコフは下級役人の間で持て囃されるものの、彼が買った農奴は全員死んでおり、知事の娘と駆け落ちを計画しているという噂が広まります。その後にさまざまな悪評が起こり、チチコフは町から逃げることにします。

 実はチチコフは汚職で解雇され、刑務所行きをかろうじて免れた元中級役人で、「死者の魂」を手に入れることで、それを担保に巨額の融資を受けようとしていたのでした。

第2巻

 チチコフはロシアの別の場所に逃げます。怠惰な地主テンテトニコフがベトリシチェフ将軍の娘ウリンカと結婚できるよう手助けしようとします。そのためにチチコフはコシュカリョフ大佐をはじめ、ベトリシチェフの親戚を訪ねます。

 そこからチチコフは再び屋敷から屋敷へと渡り歩き、最終的に貧困にあえぐフロブエフから屋敷を購入するものの、フロブエフの裕福な叔母の遺言を偽造しようとして逮捕されます。

 モウラゾフの介入により赦免されるが、村から逃げることになります。チチコフの逮捕を画策した王子がロシア政府の腐敗を非難する演説を行います。(未完)

参考文献

・アンリ=トロワイヤ (著), 村上 香住子 (翻訳)『ゴーゴリ伝』

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