始めに
ゴーゴリ「外套」解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
ロマン主義から写実主義へ
ゴーゴリはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)、ホフマン、シャミッソーなど、ロマン主義の作家から影響をうけました。本作も幻想文学的なテイストが濃厚です。
特に文学的師としたのはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)で、終生影響を受け続けました。
ゴーゴリ―の後継とみなされたのはドストエフスキーで、ゴーゴリは初期にはホフマンやプーシキンのロマン主義の影響下でウェルメイドなロマン主義的小編をものしていたものの、晩年の本作は本人の精神状態の悪化も相まってアンバランスでグロテスクな写実主義を展開していますが、ドストエフスキーも似たようなキャリアをたどりました。
外套をめぐるドラマ
本作は筋は単純で、冴えない官僚のアカーキイ=アカーキエウィッチがボロボロになった外套を新調し、満たされた気持ちになっていたところ、追い剥ぎにそれを奪われたことから心労で病に倒れて死に、その後は外套を追い剥ぎする幽霊になるというよくある怪談のパターンです。
外套が何を象徴するのかは意見が分かれます。とはいえ「鼻」「検察官」などもそうですが、本作も階級やステータス、アイデンティティをめぐる物語としても解釈できます。
ピョートル大帝が官等表を導入して以来、軍人や官僚が平民から国家への奉仕を通じて世襲貴族になることを認められ、人々は出世にこだわるようになりました。立身出世のために人々は階級に代表される見栄や体裁にこだわるようになっていきます。ゴーゴリはそんな時代を背景に物語を展開しています。
結局そんな時代において、外套というものは単なる衣服以上のステータスとしての価値があり、それをなくすということは重大な意味合いを持つのかもしれません。
物語世界
あらすじ
ペテルブルクに住む主人公アカーキイ=アカーキエウィッチは真面目な下級役人でした。修繕に修繕を重ね、使い古された外套が、ついに修繕が不可能になります。
そこでアカーキイは外套を新調しようとするものの、80ルーブリは大変な出費でした。預金や予想外の収入などにより、80ルーブリになんとか当てがつきます。
新品の外套が手に入り、アカーキイは幸せになります。新調した外套を着他日は、その話で役所中で持ちきりとなり、外套のために祝杯をあげることになりました。
しかしその帰り道で、外套を2人の追剥に奪われてしまいます。アカーキイは警察署長や有力者に相談するものの、相手にしてもらえません。やがてアカーキイは熱に倒れて、死にます。
その後ある噂が広まります。夜な夜な官吏の姿の幽霊が盗まれた外套を探して、道行く人から外套を奪うというのです。一方、アカーキイ=アカーキエウィッチに外套を取り戻すよう頼まれたが無下にした有力者は、外套の男がどうなったかを部下に尋ね、既に病気で死んだことを知ると後悔します。
ある日、有力者は愛人の家に向かう道中、件の幽霊に出会います。それはアカーキイで、恨み言を言って、有力者の外套を奪います。その日から有力者は高慢な態度をやめ、アカーキイの幽霊も出なくなりました。
その後、別の街で官吏の幽霊が見られると噂が流れ、実際に一人の巡査が目撃しましたが、その姿は背が大きく、大きな口ひげがある別の幽霊だったそうです(2人の追い剥ぎの1人とにている)。
参考文献
・アンリ=トロワイヤ (著), 村上 香住子 (翻訳)『ゴーゴリ伝』




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