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スタインベック『怒りの葡萄』解説あらすじ

スタインべック
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始めに

スタインベック『怒りの葡萄』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

語りの構造

 物語は非線形の語りです。

 奇数章にスタインベックの分身を語り手とする評論、偶数章にジョード一家の物語を配置しています。こうした構成によって、大恐慌下のアメリカ社会をリアリスティックに描写します。

 語りのコンセプトとしてはメルヴィル『白鯨』などと重なり、本筋からの脱線を奇数章で展開し、世界観に厚みをもたらします。

 トルストイ『戦争と平和』などでも、終章において作者の分身による評論が作品のテーマとして挿入されるデザインがあります。

 川端『浅草紅団』でも、これと似たような語りが展開されます。

聖書と象徴性

 作者のスタインベックはキリスト教文学、聖書に影響を受けました。

 怒りの葡萄という表現は『新約聖書』の「ヨハネの黙示録」に由来し、神の怒りに踏み潰される「葡萄」(人間)を描いているとされます。

 直接的にはヨハネの黙示録を題材にしたジュリア=ウォード=ハウの『共和国の戦いの歌』の歌詞からとったタイトルでした。

 本作でジョード一家が貧しいオクラホマから、乳と蜜の流れる豊饒な「約束の地」たるカリフォルニアに脱出するプロットは『旧約聖書』のエクソダス、『出エジプト記』をモチーフにしています。

物語世界

あらすじ

 世界恐慌と重なる1930年代。大規模資本主義農業の進展や、オクラホマ州などアメリカ中西部のダストボウルにより、所有地が耕作不可能となって多くの農民が土地を追われています。

 オクラホマ州の農家の息子である主人公のトム=ジョードは、怒りから人を殺し、4年間の懲役刑から仮釈放で実家に戻っています。トムの家族の農場はダストボウルで耕作不能となり、生活に窮したためにオクラホマを引き払い、仕事があるというカリフォルニア州に引っ越そうとしていました。トムは一族や、説教師のジム=ケイシーなどとともに、カリフォルニアへの旅に合流します。

 家財を売って得た中古車でジョード一家はルート66を辿ります。祖父や祖母は、アリゾナ砂漠やロッキー山脈などの過酷な旅により車上で死亡し、従兄弟も逃亡します。

 カリフォルニアに辿り着くものの、当時のカリフォルニアには、大恐慌と機械化農業のために土地を失った多くのオクラホマ農民が既にいて労働力過剰でした。移住者たちは、「オーキー」と蔑まれながら、貧民キャンプを転々とし、地主の言い値の低賃金で、日雇い労働をするばかりでした。

 労働者を組織しようとするケイシーは、地主に雇われた警備員に撲殺されます。その場にいたトムは、ケイシーを殺した警備員を殺し、家族と別れ地下に潜ります。

 ジョード一家のキャンプ地に、豪雨と洪水がきます。やがて家族は洪水から逃れるべく古い納屋に避難します。納屋の中には、少年と飢えで死にそうな父親がいます。ママ=ジョードは、この男を救う方法は一つしかないと悟り、ローズ=オブ=シャロン(トム=ジョードの妹)を見つめると、二人には無言の理解が生まれます。

 男と二人きりになったローズ=オブ=シャロンは、男のもとへ行き、自分の母乳を飲ませます。

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