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ゴーリキー「母」解説あらすじ

ゴーリキー
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始めに

 ゴーリキー「母」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ゴーリキーの作家性

 ゴーリキーは、正規の教育をほとんど受けずどん底の生活から這い上がったという異色の経歴を持っています。


 ​ゴーリキーは同時代の偉大な作家たちと交流し、時に反発し、時に学びながら自身のスタイルを確立しました。ゴーリキーはチェーホフの客観的で緻密な描写に敬意を払いつつも、もっと力強く情熱的なものを書こうとします。ゴーリキーはトルストイを尊敬していましたが、宗教的な要素にはネガティブでもありました。コロレンコの心理描写や人道主義的な視点も初期のゴーリキーに大きな影響を与えました。


​ ​フランスやイギリスの文学からも影響がありますす。ユゴーは『レ・ミゼラブル』に代表される、虐げられた人々への慈しみと、ロマン主義が共通します。ディケンズも社会の底辺に生きる人々への着目が影響します。​バルザック、ゾラのリアリズムの刺激もあります。


​ ニーチェのロマン主義や個人の生への着目からも刺激を受けています。

​​社会主義リアリズム

 『母』は、1905年のロシア第一革命の時期に執筆された作品で、後に社会主義リアリズムの先駆とされました。


​ 物語の主人公ペラゲーヤ(母)は、当初、夫の暴力と貧困に耐え忍ぶ、無学で臆病な女性として描かれます。しかし息子のパウェルが社会主義運動に身を投じるのを見て、最初は理解できず恐怖を感じますが、次第に彼らの理想が正義であることを理解していきます。ペラゲーヤが文字を覚え、世界の仕組みを知る過程は、一人の人間としての尊厳を取り戻すプロセスです。


​ そして最初は自分の息子を守りたいという一心で動いていたペラゲーヤが、やがて息子と同じ志を持つ若者たち全員を自分の子供のように愛するようになります。ペラゲーヤの母性は、家庭という狭い枠を超えて、虐げられたすべての人々を包み込む社会的な連帯感へと昇華されます。これがタイトルの『母』が持つ意味です。


​ パンフレットやビラを配る行為は、暗闇に光をもたらす行為として象徴的に描かれます。暴力ではなく、正しい言葉と真理を伝えることが世界を変える鍵であるという信念が描かれます。

物語世界

あらすじ

 主人公のペラゲーヤ=ニローヴナは、酒乱の夫から暴力を振るわれる過酷な生活を送っていました。夫が亡くなった後、息子のパウェルも父親と同じような荒れた生活を送るのではないかと彼女は恐れます。

 ​しかし、パウェルは禁じられた社会主義の思想に触れ、家で仲間たちと秘密の集会を開くようになります。最初は「恐ろしいこと」と怯えていたペラゲーヤでしたが、パウェルやその仲間たちの純粋で高潔な志に触れるうちに、次第に彼らを信頼し、深い愛情を抱くようになります。

​ 

 ​パウェルが工場でビラを配った罪で逮捕されると、ペラゲーヤは息子の意志を継ぐことを決意します。彼女は労働者に扮して工場に忍び込み、禁止されたパンフレットを配るなど、革命運動の「運び屋」として活動し始めます。

 ​かつては無学で怯えてばかりいた彼女は、運動を通じて「真実のために戦うこと」の尊さを学び、労働者たちの精神的な支え、すなわち「みんなの母親」のような存在へと成長していきます。

 ​パウェルは一度釈放されますが、5月1日のメーデーで赤旗を掲げて先頭に立ち、再び逮捕されます。裁判の席で、パウェルは労働者の権利と体制の不正を訴える堂々たる演説を行い、シベリア送り(流刑)を言い渡されます。

​ パウェルの演説に感動したペラゲーヤは、その演説文を印刷した大量のビラを持って、遠くの街へ届けようとします。しかし、駅で警察のスパイに見つかってしまいます。

 ​包囲される中、彼女は逃げるのではなく、人々に呼びかけます。「真理の言葉を血で消すことはできない!」と。彼女は殴られ、首を絞められながらも、最後まで人々に真実を訴え続ける場面で物語は幕を閉じます。

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