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マッカーシー『グループ』解説あらすじ

メアリー=マッカーシー
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始めに

 マッカーシー『グループ』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

マッカーシーの作家性

 マッカーシーの文体は、19世紀の巨匠たちから多くを学んでいます。


​ 特にトルストイの写実主義からの影響は大きいです。またフローベール、オースティン、​スタンダールのリアリズムからも刺激されました。


​ ​エドマンド=ウィルソンは元夫であり、リアリズムや保守主義の点で影響されました。​ハンナ=アーレントは友人で、その保守主義に影響されました。


​ 他にもヴァッサー大学で古典を学び、ラテン語の正確さや修辞学を身につけたほか、幼少期から教会の教義や論理的な思考訓練を受けました。

理想と現実

​ 主人公たちは大学で最新の思想(マルクス主義、精神分析、避妊、自由恋愛、科学的育児)を学び、自分たちは親の世代とは違う、進歩的で自由な女性だと自負していました。​しかし、実際の結婚生活や社会生活では、学んだ理論が通用しません。


 ​夫の浮気、経済的困窮、育児のノイローゼなど、頭ではわかっているのに、生活がままならないという知識人の滑稽さと悲劇が描かれています。


​ ​1930年代のアメリカは、ニューディール政策や世界恐慌のさなかにあり、社会が激変していました。​彼女たちはキャリアを望みながらも、結局は良き妻、良き母という伝統的な役割を期待され、その板挟みになります。

​ ​作中には、当時登場したばかりの電化製品や科学的な育児法が頻繁に登場します。​彼女たちは、最新のガジェットや科学的な手法が自分たちを解放してくれると信じていました。​しかしそれが逆に主人公たちを縛り、孤独にする様子を描きます。

 ​主人公たちは個性的であろうとしながらも、常に「グループ」の中での自分の立ち位置を気にしています。​友情という名の監視、あるいは階級意識のなか、「洗練された女性」を演じ続けなければならないという強迫観念が、彼女たちを追い詰めていきます。

物語世界

あらすじ

 物語は1933年、ヴァッサー大学を卒業したばかりのケイと、劇作家を目指すハラルドの結婚式から始まります。8人の仲間のグループは、自分たちは親の世代とは違い進歩的で自由であると自負し、輝かしい未来を確信していましたが、この結婚が後にグループの崩壊と悲劇の象徴となっていきます。

 卒業後、彼女たちはニューヨークを中心に活動しますが、現実は甘くありません。

 グループの中でも古風だったドッティは、奔放な男性と一夜を共にし、避妊具を買いに行きますが、結局その男性に捨てられ、保守的な結婚へと逃げます。

 経済的に苦しかったポリーは、精神を病んだ父を養いながら、妻子ある男性と不倫関係に陥ります。しかし最終的には、誠実な医師と出会い、グループの中では最も幸福な結婚を掴みます。

 プルーイットは、当時の流行だった「厳格なスケジュール管理による育児」を実践しようとして、かえって子供との絆に苦しみます。

 リビーは出版業界での成功を夢見ますが、男性社会の壁にぶつかり、虚飾に満ちた生活を送ることになります。

 グループで最も美しく憧れの的だったレイキーは、卒業後すぐにヨーロッパへ渡り、長く連絡が途絶えます。

 結婚式で始まったケイの生活ですが、夫のハラルドは不倫を繰り返し、仕事もうまくいかず、不満をケイにぶつけます。ついには、ハラルドによって精神病院へ強制入院させられます。友人のポリーたちの助けで退院しますが、ケイのプライドはズタズタになり、かつての輝きを失ってしまいます。

​ 1940年、ヨーロッパで戦争が激化する中、レイキーが帰国します。彼女は男装の「バロネス(男爵夫人)」を連れており、彼女がレズビアンであることが判明します。進歩的を自称していたメンバーたちは、この事実に戸惑い、自分たちのリベラルな「寛容さ」が表面的なものだったことを突きつけられます。

 物語の終盤、ケイがホテルの窓から転落して亡くなります。それが飛行機を見ようとして身を乗り出した事故なのか、夫との生活に絶望した自殺なのかは曖昧なまま残されます。

 最後は、ケイの葬儀のためにグループが再集結します。1933年の結婚式から7年。若々しい理想に燃えていた仲間たちは、不倫、離婚、家計の苦しみ、そして死を経験し、冷酷な現実を受け入れた「大人」になっていました。

 物語は、グループがそれぞれの人生へ戻っていくところで幕を閉じます。

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