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武者小路実篤『お目出たき人』解説あらすじ

武者小路実篤
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始めに

 武者小路実篤『お目出たき人』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

白樺派の理想主義とヒューマニズム

 武者小路実篤は白樺派の中心となった作家です。白樺派は、学習院の同人誌である白樺のグループの作家の名称で、傾向としては理想主義や人道主義を掲げて、そこから生田長江など自然主義の作家や評論家との論争がありました。

 白樺派は有島武郎(『或る女』)、里見とん(『多情仏心』)の兄弟や武者小路実篤(『友情』)、長与善郎などの小説家の他にも詩人、歌人、画家もいて、作風の傾向もまちまちでした。とはいえこのグループではトルストイ(『戦争と平和』『アンナ=カレーニナ』)、ニーチェなどは広く共有され、トルストイ(『戦争と平和』『アンナ=カレーニナ』)のヒューマニズムからは実篤も影響が顕著です。

 また「ドストエフスキイに就て」で評価する、ドストエフスキーの影響も顕著です。

 加えて、漱石のユーモアと写実からも感化が大きいです。

 本作もトルストイ『クロイツェル=ソナタ』に似た、寝取られ男を描きます。また、ドストエフスキー『地下室の手記』と重なるナイーブな自意識を描きます。ナイーブな青年の失恋話という点では『三四郎』とも似ています。

語りの構造

 タイトルは語り手の気質に言及するものです。

 女に餓えている語り手は、近所に住む鶴という女に恋しています。男と女が惹かれあうのは自然とする語り手は、鶴と結ばれることを信じて疑いません。この空想的でナイーブな青年の鶴への片思いと失恋が描かれます。

 内向的な語り手はほとんど鶴と関われず、恋心を募らせ、ふたりが結ばれるのを運命と思っていますが、それが叶わないと他の男と結婚した鶴を憐れみさえします。

物語世界

あらすじ

 女に餓えている語り手は、近所に住む鶴という女に恋しています。男と女が惹かれあうのは自然とする語り手は、鶴と結ばれることを信じて疑いません。足かけ五年恋しているものの、鶴と言葉を交わしたこともないのでした。空想家である語り手は、彼女をどんどん理想化します。

 鶴に対する思いは膨らんでいくものの、ある日仲介人の川路からの手紙で、鶴は他にも多くの魅力的な男性から結婚を申し込まれていることを知ります。語り手はショックを受け、日記や自作の詩にその思いをぶつけます。しかし自分と鶴は夫婦になるという自然の黙示を信じており、あきらめずに彼女を想います。

 ある日約一年ぶりに甲武電車で鶴に逢い、ついに自分は鶴と結婚するのだと確信します。ところが五カ月後、再び川路から届いた手紙により、鶴が人妻になったと知ります。

 それでも自然の黙示に従おうとする自分は、他の男と結婚した鶴を憐れみます。

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