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庄司薫『赤頭巾ちゃん気を付けて』解説あらすじ

庄司薫
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始めに

 庄司薫『赤頭巾ちゃん気を付けて』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造 

語りの構造

 語り手は都立日比谷高校3年男子生徒の庄司薫くんです。薫くんは学校群制度が導入される前の最後の入学生で、1969年2月9日の日曜日一日のできごとを、薫くんの饒舌な語りでつづります。

 語り口はティーンエイジスカーズのそれで、サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』との内容的な類似性がよく指摘されます。

 庄司薫はもともと堀辰雄の影響が強く、そこからも語り手の厭世主義やナイーブさを継承しています。

 物語はストーリーらしい起伏はありませんが、薫くんの内的独白がひたすら綴られていきます。

しらけ世代?

 たまに誤解されますが、庄司薫はしらけ世代でもないし、本作もしらけ世代を描いたものでもありません。ただそれと重なるような、ナイーブでデリケートで、新左翼的なものにも熱狂できない一人の青年を描きます。堀辰雄のペシミズムと厭世観がここに見て取れます。

 主人公の薫くんは、東大入試の中止という、自分の努力ではどうにもならない不条理な現実に直面します。それまでの「守られた子供の世界」が崩れ去る中で、彼は都会の街を彷徨い、さまざまな人と出会います。物語の核となるのは、純粋な子供のままではいられないが、かといって汚い大人にもなりたくないという、青年期特有の繊細な葛藤です。

 タイトルにある「赤ずきんちゃん気をつけて」は作中のモチーフに由来しますが、薫くんの危うさを象徴するようなものです。

物語世界

あらすじ

 語り手は都立日比谷高校3年男子生徒の庄司薫くんです。薫くんは学校群制度が導入される前の最後の入学生です。1969年2月9日の日曜日一日のできごとが描かれます。

 1968年暮れ、東大紛争により東大入試が中止になり、受験するつもりだった薫くんは願書提出期限を翌日に控えて、大学へ行くのをやめる決心をしています。兄や姉は独立し、父は昨日からゴルフへ行っており、家には母だけです。小学校までの幼馴染のガールフレンド由美は、中学校から女子大付属に通い、「舌かんで死んじゃいたい」が口癖です。昨日は犬のドンが死に、薫くんは足の親指の爪をはがします。

 大学紛争、米帝、サルトル、『椿姫』、酒井和歌子、水前寺清子などについて思い巡らせます。

 知り合いのおばさんは、薫くんが京大か一橋大を受けるのか訊いてきます。有楽町駅で電車を降りて銀座を歩いていると、小さい女の子に遭遇して会話し、旭屋書店で女の子はグリム童話の本を買います。

 薫くんはタクシーで帰宅して医者に寄ったあとで由美の家へ行き、大学へ行くのをやめると告げ、二人で手をつなぐのでした。

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