始めに
樋口一葉『大つごもり』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
元禄文学の影響
近代になって、明治二十年代ごろ(1887~96)や1900年代前後に、日本の江戸文芸である元禄文学が着目されていきます。
これはナショナリズムの高まりと連動していて、井原西鶴や近松門左衛門のリアリズムが再度着目され、西洋文学とすりあわされるなかで再解釈されていきました。
最初の元禄文学ルネサンスには一葉と紅葉(『多情多恨』『金色夜叉』)、露伴(『五重塔』)、第二の波では自然主義の作家が元禄文学を参照にして、リアリズムを展開していきました。
モデル
山村家に女中奉公に出るお峰の大晦日近辺を描き、お峰は作者自身が一部モデルです。
師匠の中島歌子の私塾「萩の舎」で2円の金がなくなった時に、一葉に嫌疑がかかったことがあったとされます。
すれ違い
本作はすれ違いを描くドラマです。
幼い頃に幼い頃に父母を亡くし、貧しい八百屋の伯父安兵衛に引き取られて17歳まで育てられたお峰は、家計を助けるために18歳になると資産家の山村家の女中奉公人となります。お峰、父のために金を工面しなければいけなかったところ、当てにしていた山村家では放蕩息子の石之助のために、その継母の機嫌が悪くなって、金を貸してくれなくなります。困ったお峰は山村家から金を二円硯からくすねてしまうものの、それが露見しそうになったさいに、盗んだ硯の中から、金をまとめて石之助が盗んでいたため、お峰が危ういところで助かる、という内容です。
物語世界
あらすじ
幼い頃に父母を亡くし、貧しい八百屋の伯父安兵衛に引き取られて17歳まで育てられたお峰は、家計を助けるために18歳になると資産家の山村家の女中奉公人となります。
小言や辛い仕事に耐える奉公生活をこなし、12月にお暇がもらえたので、初音町にある伯父の家へ帰宅します。病気の伯父から、田町の高利貸しから借りた10円の期限が迫っているのでおどり(期間延長のための金銭)を払うことを頼まれ、山村家から給金の前借りをする約束をします。弟同然の8歳の従弟三之助も痩せ細り、寒空の中、蜆を売り歩いていました。
山村家の息子石之助は、継母(御新造)と折り合いが悪く、父の愛も薄く養子に出されそうになり15歳の頃から不良となり、仲間と派手に遊んだり伊皿子あたりの貧乏人に金を恵んで散財する生活で、金がつきると家に帰って無心をしていました。石之助が家に来て機嫌が悪くなった御新造は、先日はお峰の前借りの申し出を承知したようなことを言ったものの、忘れたふりをし、お峰に金を貸してくれません。三之助がお金を受け取りに来て、切羽詰まったお峰は、その大晦日の日に仕方なく硯の引き出しの札束の中から1円札2枚を盗みます。
一方、夜になると石之助は、帰宅した父親の大旦那から金を無心し50円の札束を受け取って出ていきます。その後、大勘定(大晦日の有り金を全部封印すること)のために、お峰が2円を盗んだことが明らかになりかけます。お峰は伯父に罪をかぶせないように、もし伯父の罪になったら自殺をする決心をします。
ところが、大旦那が硯を開けると中には「引出しの分も拝借致し候 石之助」とある一枚の紙切れがありました。札束ごとなくなった金は石之助が盗んだので、お峰は助けられたのでした。




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