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よしもとばなな『キッチン』解説あらすじ

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始めに

 よしもとばなな『キッチン』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

乙女チック漫画

 よしもとばななは、少女漫画や広く漫画からの影響が顕著です。

 作品に触れた人はなんとなく感じると思いますが、特に大島弓子からの影響がキャリアの初期から顕著で、なんだか鷺沢萠が、初期には吉田秋生そのまんまんな感じの作品が多かったのと重なります。

 大島弓子は、フランスやロシア、イギリスなどの写実主義文学を思わせる端正な筆致と巧みに構成された登場人物やシチュエーションの設定で展開される心理劇が特徴的な漫画家です。

 よしもとばななも、そのような漫画からの影響があるので、読みやすくキャッチーで、プロットがよく構成されています。

 また藤子・F・不二雄のような、ファンタジックでSF風味の心理劇、メロドラマも多く手がけます。

 本作もそのような傾向を備えています。

心的外傷と友愛

 本作は、「キッチン」と「満月 キッチン2」という前編後編からなります。

 両者とも世界観と語り手は共通で、テーマとしても「知人の死の心的外傷と、それの友愛による克服」という要素が共通しています。

 「キッチン」では、桜井みかげというヒロインで語り手が、祖母の死によって天涯孤独となり、同じ大学の学生で、祖母の行きつけの花屋でアルバイトしていた田辺雄一に声をかけられ、雄一宅に居候することになります。雄一はゲイバーを経営する母えり子(実は父雄司)とマンションで2人暮らしをしていました。この親子との、特異ではあるものの、真に利他的な関係性へのコミットメントで、みかげのこころが救われていきます。

 「満月 キッチン2」のほうでは、えり子が殺されてしまい、雄一の心的外傷が描かれ、今度はみかげの側がそれを助けようとするプロットが展開されていきます。

物語世界

あらすじ

キッチン

 両親と祖父を早くに亡くし、祖母と暮らしてきた大学生桜井みかげは、その祖母も亡くしてしまいます。

 ある時、同じ大学の学生で、祖母の行きつけの花屋でアルバイトしていた田辺雄一に声をかけられ、雄一宅に居候します。雄一はゲイバーを経営する母えり子(実は父雄司)とマンションで2人暮らしをしていました。

 みかげは田辺家の台所に続く居間のソファで眠るようになり、風変わりなえり子と雄一親子と打ち解けます。

 かつてのボーイフレンドとの再会もあり、祖母の死を受け入れ、みかげの心は再生します。

満月 キッチン2

 みかげは休学していた大学をきっぱりやめ、世話になった田辺家からも独立して、有名な料理研究家のアシスタントとなりました。そのみかげのもとに雄一から、えり子が店の客に殺害されたと連絡があります。

 田辺家に駆けつけたみかげは、雄一と同居します。しかし雄一に思いを寄せる大学生奥野がみかげの職場に押しかけたり、家族でも恋人でもない2人の同居は理解されません。

 えり子の死のトラウマから、雄一は姿をくらます。伊豆へ出張していたみかげは、たまたま入った食堂で食べたカツ丼に感動します。深夜にタクシーを走らせ、えり子の店のチーフのちかちゃんにもらった雄一の居場所が書いてあるメモを頼りに、カツ丼を届けようとするのでした。

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