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国木田独歩『竹の木戸』解説あらすじ

国木田独歩
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始めに

 国木田独歩『竹の木戸』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ゾラと自然主義 

 日本の自然主義を代表するのが独歩(「竹の木戸」『武蔵野』)、花袋(『蒲団』『一兵卒の銃殺』)ですが、自然主義はフランスのゾラ(『居酒屋』『ナナ』)に始まります。

 ゾラ(『居酒屋』『ナナ』)はフランスの自然主義を代表する作家です。ゾラが自然主義の理論書たる『実験小説論』で構想したのはベルナールの医学、行動を決定する要素の科学、テーヌの歴史学を参照にしつつ、人間の社会的実践の構造的理解を試み、それを美学的再現のレベルで反映しようとしたものでした。

 ダーウィン『進化論』やベルナール『実験医学序説』など、行動を決定する要因についての医学、遺伝学、社会学的知見を背景に、人間の社会的実践の美学的再現を、家族や遺伝的要因に焦点を当てて試みようとするコンセプトから、ルーゴン・マッカール叢書は展開されていきます。

 ルーゴン・マッカール叢書は、ルーゴン家とマッカルー家という2つの家族、血族の物語として展開されていき、フランスの厳しい現実の中で、それぞれの血族のキャラクターたちが悲劇的な運命に翻弄されていきます。

 またゾラはフランスの暗い現実に焦点を当てることでそれを改善しようとしたのでした。ドレフュス事件における社会派としての活躍に見られるように、人類の未来のために創作や政治活動を通じて現実社会にコミットしました。

 「竹の木戸」も当時の日本の貧困という環境が生む悲劇を描きます。

女性の苦悩。貧困の悲劇

 プロットをかいつまんでつたえます。貧乏な植木屋夫婦の妻のお源が、貧しい生活に苦しむあまり、隣家から炭を盗んでしまい、自身が貧乏の不満を夫に嘆いたことから夫も盗みをはたらいてしまい、罪悪感のなかでお源が自殺してしまう、という流れです。物語のラストでは、夫婦の夫の磯吉はまた結婚してお源と暮らしていたのと似たようなボロ小屋で暮らしていて、同種の悲劇が繰り返されることを匂わせる不穏なラストになっています。

 タイトルになっている「竹の木戸」は、植木屋夫婦の隣家の大庭家が、水汲みをさせてやる便宜をはからってこしらえてくれた木戸のことで、これがあったために両家の往来がしやすくなっていたため、ついお源は魔が差してしまいました。貧困を夫の磯吉に愚痴らなければ、磯吉は盗みをしなかったかもしれません。

 少しのボタンの掛け違いで起こってしまった悲劇を竹の木戸が象徴します。

物語世界

あらすじ

 大庭真蔵は東京の郊外に住んでいます。家族は老母と妻、妻の妹、幼い娘、女中のお徳です。

 真蔵の家の生垣を一つ隔てた隣に小屋があり、そこに植木屋夫婦が暮らしています。

 この植木屋夫婦が引っ越してきたとき、井戸がないので水を汲ませてほしいと、大庭家に頼み、大庭家がこれを許すと、今度は門へ回るのがめんどうだからと、生垣に戸口をつくらせてほしいといいます。大庭家は嫌がりましたが、優しい主人の真蔵が認めます。

 植木屋夫婦の夫、磯吉は労働意欲にむらがあって、貧乏しています。

 十二月、老母と妻と娘と、それからお徳と、四人は下町へ買い物へ出かけます。家では真蔵と妻の妹が留守番をしました。真蔵は女中部屋の開けっ放しの窓が気になり、そこから顔を出します。するとすぐ眼下に、隣のお源がいて目が合います。

 お源は狼狽して去ります。窓の下には炭俵が口を並べてあります。真蔵は、お源が炭を盗んでいたかもしれないと疑います。しかし証拠はないし、盗んでいたとしても、自分に見られたと思えばもう盗まなくなるのではないかと、お人好しの真蔵は考えます。

 買い物に出かけた家族が帰ってくると、女中のお徳が炭がなくなっていると騒ぎます。炭の減り方がおかしいので、上の炭に印をつけていたところ、いま見たらなくなっていたそうです。家族は木戸から出入りを許している植木屋夫婦の妻、お源を疑います。

 真蔵は昼間に見たことは話さずにいます。結局、炭の置き場所を簡単に取れないところへ変えることにしますが、犯人探しはやめます。

 お源は例の件を目撃されたこともあって罪悪感と不安に襲われます。夫の磯吉が帰ってくると、お源は貧乏暮らしについて文句を言います。

 家を飛び出していった磯吉は、炭俵を持って帰ります。翌朝、お源が炭俵を見て驚き、どこから手に入れたのか磯吉に聞くと、買ってきたと話します。

 お源が水を汲みに大庭家の庭へ行くと、お徳があいさつしたきり何も話しません。そしていつもの場所に炭俵がないのに気づいて、お源は衝撃を受けます。

 そこへ炭屋がやってきて、昨夜佐倉炭を一俵盗まれたと話します。お源が帰って、磯吉の持ってきた炭俵を開くと佐倉炭でした。

 お源はショックで首を吊ります。

 二日経つと、竹の木戸は壊され、生垣はもとの状態に戻ります。それから二ヶ月経つと、磯吉はお源と同じくらいの年齢の新しい妻とべつのところに住んでおり、やはりボロ小屋でした。

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