始めに
大江「他人の足」解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
フォークナーの影響。南部ゴシック
フォークナー(『アブサロム、アブサロム!』『響きと怒り』)は大江健三郎の好きな作品ですが、本作もフォークナーなどの南部ゴシックと重なります。
南部ゴシックとは南部の封建的な因習や文化の残る土地の中での実践を描く作品で、代表格はフォークナーで、それに先駆けてポーやホーソン、メルヴィルのゴシック文脈があります。国内では深沢七郎(『楢山節考』)や中上健次(三部作[1.2.3])が日本版南部ゴシック、ゴシックを展開しました。
「芽むしり仔撃ち」で南部ゴシックにより長編デビューを果たした大江健三郎ですが、その後も四国愛媛の故郷を南部ゴシック的な世界として展開していくのでした。
本作は脊椎カリエスを患う少年たちの病院という、惰性に包まれた閉鎖的世界における悲劇を描きます。
閉鎖的な空間
ある日一人の大学生が僕らの病院に入ってきます。彼は病院の独特の雰囲気を嫌い、それを改善する会を結成すると僕に話します。しかし学生は自分の脚で立ち上がった結果、「僕」らとは違う人間であることが明らかになります。「僕」や仲間たちも学生も、互いをもはや同類とは見なしません。
「他人の足」とは、僕の仲間たちが自分の足で立つ人間に抱えるルサンチマンを象徴するタイトルです。
物語は、さまざまな象徴として解釈できますが、こうした閉鎖空間における排外主義的な同調圧力をたたえたムードは、大江健三郎が作品のテーマとする日本型ファシズムや新左翼の暴走のルーツとしても捉えられます。
物語世界
あらすじ
僕らは脊椎カリエスを患い病院のベッドに横たわり続けています。病院は惰性に包まれた、閉鎖的世界でした。
ある日一人の大学生が僕らの病院に入ってきます。彼は病院の独特の雰囲気を嫌い、それを改善する会を結成すると僕に話します。彼が外から来た人間だ感じ、彼を冷淡に見続けます。
やがて彼はその活動に成功し、そして病院は明るい雰囲気になります。
彼は手術をしてその後歩く事に成功します。しかし少年が指先で学生の腿を触ると、学生はやめるように怒ります。こうして、彼を少年たちは冷たく見るようになり、明るい雰囲気も萎れていきます。
僕は何故自分の足の上に立っている人間は非人間的に見えるのだろう、思います。結局、学生も贋物の患者に過ぎないと思うのでした。
病院は元の空気に戻っていきます。
参考文献
小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』(筑摩書房)



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