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ジッド『狭き門』解説あらすじ

ジッド
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始めに

ジッド『狭き門』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義、象徴主義、モダニズム

 ジッドはゴーティエ、ハイネを愛読し、ロマン主義に影響されました。また古典主義者のピエール・ルイスと知り合い文学的に影響し合いました。

 やがてルイスを通じてポール・ヴァレリーと知り合い、またステファヌ・マラルメの「火曜会」に出入りします。ここから『贋金つかい』など、マラルメ、ヴァレリー風の形式主義的実験を展開していきました。

 ゲーテはジッドが最も崇拝した存在の一人です。ゲーテの古典主義的な節度と生の全肯定は、ジッドがキリスト教的な禁欲主義から脱却し、調和を目指す上での指針となりました。


​ ドストエフスキーの人間の魂の深淵や矛盾、多面性を描く手法に強く惹かれました。ジッドは『ドストエフスキー論』を執筆するほど彼を深く研究しました。ほかに『背徳者』を執筆する際、ニーチェの既成道徳への挑戦や超人的思想が共鳴しました。


​ ジッドの簡潔で明晰な文体は、スタンダールの影響を強く受けています。過剰な装飾を排し、心理の機微をドライに描く手法を学びました。フランス古典主義劇作家であるラシーヌからは、形式の美しさと、抑制された表現の中に漂う情熱の描き方を吸収しました。


​ またアルジェリアでワイルドと出会ったことは、ジッドの人生における大きな転機となりました。ワイルドはジッドに対し、自分自身の同性愛に忠実であることを教唆し、彼が自己を解放するきっかけを作りました

ジッドとキリスト教

 父ジャン・ポール・ギヨーム・ジッドは南仏ユゼス出身でプロテスタントの家系、パリ大学法学部教授をつとめました。母ジュリエットは北仏ルーアン出身の裕福な織物業者ロンドー氏の娘でした。

 プロテスタントの父の下に育ったジッドは幼い頃からプロテスタントの厳格な教育を受けます。そして宗教を体に染み込ませられる中で、自身の性的指向との間で悶えるようになります。

 キリスト教から同性愛についての見解は、教派、教役者、聖職者によって異なりますが、それを罪とする立場がかなり広く見られます。このためジッドは自身のキリスト教とセクシャリティの間で悩みました。

 本作が描くのも、キリスト教による人間の疎外のテーマです。主人公でいとこ同士のジェロームとアリサは、10 歳から 11 歳のときに、互いへの永遠の愛情を誓います。しかしやがてアリサは信仰を強め、地上での幸福をあきらめて、二人は結ばれずに終わるのでした。

伝記的背景

 本作はかなり自伝的内容で、ジッド本人がモデルであるジェロームをはじめ、登場人物たちは、ジッドの関係者がモデルです。

 ヒロイン・アリサのモデルは従妹である妻マドレーヌで、小説とは異なり、生涯彼女と添い遂げました。ただジッドはゲイ的な傾向が強く、マドレーヌとは性交渉を持たない状態が続いていて、特異な結婚生活を送っていたのでした。

物語世界

あらすじ

 物語の舞台はフランス北岸の町。いとこ同士のジェロームとアリサは、10 歳から 11 歳のときに、互いへの永遠の愛情を誓います。しかし、母親の不貞と宗教的印象に反発して、アリサは人間の愛を拒絶します。それでも、ジェロームの知的な議論を楽しみ、自分の愛情を彼に託し続ける。そのため、ジェロームはアリサの妹ジュリエットの本当の愛に気付かず、アリサの妹ジュリエットは、ジェロームへの妹アリサの愛を犠牲にして、テシエール氏と結婚をします。ジェロームは、アリサから結婚の約束を得ていると信じていたが、アリサは次第に宗教的熱心さを増して地上での幸福を諦め、ジェロームを拒絶し、彼に会うことを拒否するようになります。

 残されたジェロームは、アリサが遺した日記に綴られた自分への熱い思いを胸に、『全てを忘れてしまうまで』一人生きていこうと決めます。

 アリサの死後 10 年たって、ジェロームとジュリエットは再会します。ジュリエットは 5 人の子供と夫と幸せな生活を送っているように見えます。ジェロームがまだアリサを愛しているように、ジュリエットもまだジェロームを愛しているように見えますが、どちらの愛も同じように叶いません。

参考文献

・クロード=マルタン『アンドレ=ジッド』

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