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​ラリー=ニーヴン『リングワールド』解説あらすじ

ラリー=ニーヴン
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始めに

 ラリー=ニーヴン『リングワールド』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ニーヴンの作家性

​ ニーヴンが最も強い影響を受けたと公言しているのがハインラインです。 ハインラインのハードSFを継承し、さらにそれを徹底させました。個人の自由や自己責任を重んじるキャラクター造形に、ハインラインの影響が見て取れます。無駄を削ぎ落とし、設定を自然に物語に組み込む手法を学びました。


​ ​ニーヴンの異星文化や色彩豊かな世界観の構築には、ヴァンスの影響が色濃く反映されています。ニーヴンはヴァンスを敬愛しており、人間とは全く異なる論理で動く異星人の描写にそのエッセンスが活かされています。


​ ​アシモフからはSFにおけるミステリ要素と論理的思考の影響を受けています。ある科学的な設定が存在するとき、そこからどのような問題が生じ、どう解決するかというプロット構成は、アシモフのロボットものやファウンデーションシリーズに通じるものがあります。


​ L・スプレイグ・ディ・キャンプからは​論理的なユーモアと、空想的な設定を理性的に分析する姿勢を学びました。ディ・キャンプが魔法を物理法則のように扱ったように、ニーヴンは超能力や魔法を、あくまで論理的なシステムとして物語に組み込みました。

タイトルの意味

 テーマは、人間(および異星人)の想像を絶する巨大構造物そのものです。地球の公転軌道に匹敵する直径を持つ人工の輪。その圧倒的な大きさを前にしたときの畏怖の念が物語の核にあります。ニーヴンは単なる魔法の産物としてではなく、回転による遠心力での重力発生など、当時の科学的知見に基づいた理詰めの記述でこの世界を構築しました。

 完璧に見える巨大構造物が、なぜ衰退しているのかという謎解きも重要なテーマです。どんなに高度な技術で構築された文明であっても、わずかなエラーや資源の枯渇、あるいは管理者の不在によって、容易に中世レベルまで退行し得るという警鐘が含まれています。登場人物たちは、降りかかる危機を勇気や友情だけでなく、科学的な分析と論理的な推論によって解決しようと試みます。

運。理解

 物語の中で最もユニークかつ議論を呼ぶテーマが、運という要素を遺伝的な形質として捉える視点です。人類が数世代にわたり宝くじの当選者同士を掛け合わせ続けた結果、生まれつき運が良い人間が誕生したという設定です。ニーヴンは、知性や体力だけでなく運もまた、種が生き残るための適応戦略になり得るのかという思考実験を行っています。


​ ​ニーヴンの描く異星人は、臆病なパペッティア人、好戦的なクジン人など、彼らの行動原理は生存本能や進化の過程に強く縛られています。異なる本能を持つ種族が、共通の目的のために協力せざるを得ない状況下で、いかに相互理解が生じるかを描いています。

物語世界

あらすじ

 ​舞台は28世紀。200歳という長寿を手に入れ、人生のすべてをやり尽くして退屈していたルイス・ウーの前に、臆病な異星人パイアソン・パペッティア人のネサスが現れます。​ネサスは、宇宙の彼方にある未知の巨大構造物リングワールドの調査隊として、ルイスを含む4人のメンバーをスカウトします。​ルイス・ウー。​ティーラ・ブラウンという幸運の遺伝子を持つとされる若い女性。​スピーカー・トゥ・アニマルズという獰猛な好戦的種族クジン人の戦士。​ネサスという精神的に不安定だが高度な技術を持つリーダー。


​ ​一行が調査船ライイング・バスタード号で辿り着いたのは、恒星をぐるりと囲む、直径3億キロメートル、幅160万キロメートルという、想像を絶する人工の輪でした。​しかし、リングワールドの防衛システムによって船は損傷し、彼らはその内表面に不時着してしまいます。広大すぎる世界に取り残された彼らは、脱出のため船を牽引して、高さ1600キロメートルの縁の壁を越えるという途方もない旅に出ることになります。


​ ​一行はフライング・サイクルで移動しながら、かつての高度な文明を失い、原始的な生活を送る人間そっくりの先住民たちに遭遇します。


​ ​旅の途中で彼らは、リングワールドを維持していた自動制御システムが機能不全に陥っているという、致命的な事実に気づきます。


 ​物語の終盤、一行はリングワールドの巨大な構造物であるシャドウ・スクエア(夜を作るための遮光板)を繋ぐ超極細かつ強靭なワイヤーを利用する計画を立てます。 墜落して自力航行不能になった宇宙船嘘つき号を、現地で手に入れたフライング・ビルディング群を使って、超高層ビル神の拳の頂上まで運びます。シャドウ・スクエアのワイヤーの一端を船に結びつけます。リングワールドの自転速度とワイヤーの張力を利用し、パチンコの要領で宇宙船をリングの外周へと弾き飛ばし、超空間跳躍が可能な圏内まで脱出しました。


​ しかしブラウンはリングワールドで出会った探求者(シーカー)と恋に落ち、彼と共に歩む道を選びました。これは彼女の遺伝的な幸運が、彼女を真に満足させる場所へと導いた結果であったと解釈されています。

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