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モーパッサン「首飾り」解説あらすじ

モーパッサン
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始めに

 モーパッサン「首飾り」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

モーパッサンの作家性

 モーパッサンはギュスターヴ=フローベールの弟子で、フロベールの家で、イワン=ツルゲーネフ、ゴンクール兄弟、エミール=ゾラ、ドーデーらと交流し、1880年、ゾラを中心として普仏戦争を扱った作品集『メダンの夕べ』に『脂肪の塊』が掲載され、世間に認められました。師匠筋のフローベールや自然主義のゾラと比べると長編の数、水準、評価はぼちぼちで短編がメインの作家です。フローベールにも似たシニカルで切れのいい短編はモーパッサンの持ち味です。

タイトルの意味

 主人公マティルドは、実際の社会的地位以上の上流的な自己像を夢想し、それを現実だと錯覚します。借りた首飾りはその虚栄の象徴で、外見によって階級を飛び越えられるという幻想を体現しています。

 借りた首飾りをなくしたせいで貧しくなるマチルドですが、最大の皮肉は、首飾りが偽物で、その事実が最後まで明かされなかったという点です。

 結局マティルドは空虚な栄光と虚飾を追い求め、虚飾を真実と錯覚してしまったために転落したのでした。

物語世界

あらすじ

 マティルド=ロワゼルは美しい女性ですが、文部省の小役人と結婚します。日頃から自分ほどの器量良しならどんな贅沢でも望めたのにと考えており、自分には手の届きそうにない上流階級の暮らしや優雅なお茶会、晩餐会を空想していました。また、マティルドはドレスやネックレスを持たず、しかし自分はそれらを身に着けるために生まれてきたと考えるほど、宝石類が好きでした。ただ人にうらやまれたり、ちやほやされたかったのです。

 ある日、夫は彼女が喜ぶだろうと思い、苦労して大臣主催のパーティーの招待状を手に入れて帰ります。しかしマティルドはパーティーに着ていく服がないと泣き出します。夫は仕方なく400フランを妻のドレスを仕立てるために差し出します。

 しかしドレスが仕立てあがっても彼女はふさぎ込んでいます。今度は身に着ける装身具がひとつもないからです。夫は友人のフォレスチエ夫人に借りに行くように提案します。

 フォレスチエ夫人は気前よく宝石箱を開けて見せ、マティルドに好きなものを持っていくように言います。中でもダイヤの素晴らしい首かざりが欲しくなったマティルドはそれを借りていきます。パーティー当日、上品に着飾ったマティルドに男という男は目を向け、ダンスを申し込みます。彼女は勝利に酔いしれ、無我夢中に踊ります。

 ところが、パーティーからの帰宅後、マティルドは借りた首飾りを失くしたと気づきます。夫ともに探すがどうしても見つからないのです。そこで夫は、同じ品を見つけて返すように言います。宝石商を渡り歩き、それと同じ首かざりをみつけます。ところがそれは最低でも3万6000フランはしました。借金をしてまでその首かざりを買い、なんとかフォレスチエ夫人に返します。

 ロワゼル夫妻は巨額の負債を返すため、住まいも引き払い、屋根裏に間借りしました。メイドに任せきりであった家事を一切こなし、買い物でもなるべく値切ってもらいます。

 苦しい生活は10年続き、ついに借金をすべて返します。マティルドは貧乏生活のために美貌は失われました。それでも時々、あの日のパーティーを思い出します。

 ある日、マティルドは偶然にシャンゼリゼでフォレスチエ夫人を見かけ、思い切って声をかけます。すっかり変わったマティルドに驚くフォレスチエ夫人に「もともとはあなたから借りた首飾りを失くしたからだ」と話します。フォレスチエ夫人は借金をしてまで首飾りを返したマティルドに感動したらしく、彼女の手を取り、「私の貸したあの首飾りは模造品だったの。せいぜい500フランくらいのものだよ」と伝えます。

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