はじめに
遠藤周作『黄色い人』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
カトリック文学
遠藤周作はカトリックの作家です。サド、ペギィ、堀辰雄、ジャック=リヴィエールなどの影響から、独特のロマン主義を形成していきました。
サドのグランギニョルやゴシック風味から、遠藤は影響されています。
ペギィもカトリックに改宗した人道主義者で影響があります。
堀辰雄とは個人的に面倒をみてもらいました。堀は芥川龍之介の弟子筋ですが、周作の作品は芥川と重なるところがあります。
神なき黄色い人
タイトルの「黄色い人」とは日本人のことです。
「キリスト教の神をもたない日本人は、罪の意識が欠落しているのではないか」「日本人にとってキリスト教徒は何か」という問いは、遠藤周作の文学のテーマになり続け、『深い河』などにそれに対するアンサーのようなものが見えます。
本作は、主にそのような問題意識から、西洋人と日本人を対比的に描くものです。
語りの構造
主人公は東京の医学生「私」(千葉)で、太平洋戦争のころのことです。小説は、千葉の独白(ブロウ神父に宛てた手紙)とデュランの日記から成ります。
デュラン神父の裏切りと、千葉の姦通の罪が対比的に描かれ、神のない日本人には、究極的に罪の意識が欠落してしていること、その道徳的荒廃を問いかけようとします。
物語世界
あらすじ
主人公は東京の医学生「私」で、太平洋戦争のころ。小説は、「私」の独白(ブロウ神父に宛てた手紙)とデュランの日記から成ります。
「私」は肺結核で余命6、7年、療養を兼ねて叔父の病院を手伝うために仁川に戻ってきます。
昭和8年に赴任してきたデュラン神父は、昭和12年の水害で出会ったキミコと過ちをおかし、教会から追放されるものの、ブロウ神父の情けを受けていました。昭和19年末、スパイ容疑でデュラン老人は官憲に捕らえられそうになるものの、ブロウ神父に罪をなすりつけ官憲に密告します。その後、デュランは医学生千葉に、ブロウ神父に渡す手記を託し、空襲で亡くなりました。
同じ頃、医学生千葉は従妹の糸子と関係を持っていました。糸子には婚約者があるものの、二人は関係を持ち続けます。
千葉はデュランの日記をブロウ神父に届けるべく、これまでのことを手紙に書いたのでした。その中で、西洋人のキリスト教徒の有する罪の感覚が、神なき日本人には欠落していることが問われます。
参考文献
・加藤宗哉『遠藤周作』




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