始めに
デフォー『モル=フランダーズ』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
ピカレスク
本作はピカレスクのモードを踏まえる内容です。
ピカレスクはスペインの文学ジャンルで、特徴としては自伝的な記述の一人称で書かれます。社会的地位が低いアウトローの主人公が機転を利かせて立ち回る、小エピソード集の形式です。平易な言葉やリアリズム、風刺などがしばしば見えます。「悪漢小説」と訳されるものの、ピカレスクの主人公が重大な犯罪を犯すことは少なく、むしろ世間の慣習や偽善に拘束されない正義を持ったアウトローとして描かれやすいです。主人公は性格の変化、成長はあまりしません。
本作もヒロインであるモル=フランダーズ(ベティ)を語り手とし、彼女の波乱と犯罪に満ちた生涯と、改悛の晩年とを描きます。
語りの構造
語り手はヒロインのモル=フランダーズ、本名ベティです。
彼女は獄中で生まれ、優しい養母に育てられるものの落ち着かない日々を送り、さまざまな男性の間を遍歴します。さまざまな男性と関係するものの、実は異父兄弟だった元夫と、ランカシャーの夫と呼ばれる詐欺師ジェームズが重要です。
モルは人を欺くことや盗みなど、犯罪に天性の才能を発揮し、人生においてさまざまなペテンや盗みを繰り広げますが、やがて逮捕され、ニューゲート刑務所で改心し、過去の夫ジェームズと再会し、彼とまた結ばれ、やがて異父兄弟の元夫とその子らと和解し、ジェームズと後悔のなかで穏やかに暮らします。
物語世界
あらすじ
モルの母親はロンドンのニューゲート刑務所の囚人で、妊娠により刑期を延ばされます。妊娠中の犯罪者の処刑を延期する慣習があったのでした。母親はイギリス領アメリカに移送され、モル=フランダースは3歳から思春期まで優しい養母に育てられます。その後、モルは召使としてある家に入り込み、2人の息子に愛されます。
その弟と結婚して5年後、モルは未亡人となり、子供たちを義理の両親に預け、男性を引き付けるために、裕福な未亡人を装う術を磨きます。
その後結ばれた紳士の商人で浪費家の夫は破産し、ヨーロッパ本土に逃げ、モルは一人残されます。次に、モルは親切な男と縁を結び、バージニア植民地に行き、その母親を紹介されます。子供が三人(一人は死去)になった後、モルは義母が実の母親で、夫が異父兄弟だと知ります。モルは結婚を解消し、三年間兄と暮らした後、二人の子供を残してイギリスに戻り、バースに移って夫を探します。
モルは妻が精神異常で監禁されているバースの男性と関係します。二人は三人子供を得て一人亡くなります。重病を患った後、彼は後悔してその関係を解消し、妻と和解します。しかし、彼はモルに子供らの生活を保障し、モルはまた二人の子供を残して去ります。
42 歳になったモルは、銀行員の恋人に頼ります。その恋人は既婚でしたが、モルが財産を託した後、モルにプロポーズします。銀行員が離婚するのを待つ間、その間に田舎へ出かけてランカシャーの裕福な紳士ジェームズと結婚します。このジェームズは詐欺師で、モルと同じくらい貧乏で、二人は別々に財産を築こうと別れます。別れるものの、モルはすぐに自分が妊娠していることに気づき、出産します。モルは銀行員と文通し、自分を受け入れてくれることを期待します。
モルは、田舎の女性に、年間 5 ポンドの報酬と引き換えに、生まれたばかりの赤ん坊を預けます。モルはあの銀行家と結婚するものの、これまでの過去を振り返り、モルは罪悪感に苛まれます。やがて夫は破産し、絶望のあまり亡くなります。
本当に絶望したモルは、盗みの道に進みます。悪党たちの間で有名になり、偽名の「モル=フランダース」として広くしられます。モルはしかし、ついに捕らえられてしまいます。
ニューゲート刑務所で、モルはようやく悔い改めます。同時に、モルは「ランカシャーの夫」ジェームズと再会します。彼もまた強盗で投獄されています。モルは死刑を言い渡されるものの、牧師に悔い改めたことを納得させ、ジェームズとともに絞首刑を免れるために植民地に移送され、そこで 2 人で暮らします。植民地に到着すると、モルは母親が農園を遺したこと、自分の息子(兄弟の息子)が生きていること、元夫の兄弟も生きていることを知ります。
モルは変装して、慎重に兄弟とその息子に会いに行きます。二人はメリーランドで50人の召使いがいる農場を見つけます。モルはバージニアで息子に正体を明かし、息子は彼女に母親の遺産を譲り渡します。
元夫の兄弟が亡くなった後、ジェームズにすべてを話し、過去を懺悔します。70歳に近くなった2人はイングランドに戻り、悔悛のなかに暮らすのでした。




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