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吉田健一『酒宴』解説あらすじ

吉田健一
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始めに

 吉田健一『酒宴』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

谷崎、横光、梶井のモダニズム、ラフォルグの象徴主義

 吉田健一は谷崎潤一郎、横光利一、梶井基次郎といったモダニズム的な傾向の作家から影響を受けました。

 谷崎は荷風『ふらんす物語』『あめりか物語』に刺激され、そこから『』『春琴抄』『蘆刈』『吉野葛』における『闇の奥』のような枠物語構造、『響きと怒り』『失われた時を求めて』のような『盲目物語』『過酸化マンガン水の夢』における一人称視点のリアリズム的手法など、実験的作品を多くものしました。本作も『過酸化マンガン水の夢』と重なるような、酩酊状態における幻視経験を描きます。

 横光利一も新感覚派を代表するモダニストです。モダニズムとはジョイス(『ユリシーズ』)やプルースト(『失われた時を求めて』)、フォークナー(『響きと怒り』)に代表される前衛的な文学運動で、意識の流れなどを特徴とするのですが、横光利一『機械』はもそうした手法でものされています。吉田健一は横光の一人称視点のリアリズムを継承します。

 また梶井基次郎(『檸檬』)の作品からも影響されており、一人称視点について示唆を受けています。

スティーブンソンのロマン主義

 他に吉田はスティーブンスンの影響が顕著です。スティーブンスンの『旅は驢馬をつれて』に影響されて、旅行をしたこともあります。

 スティヴンスンは二十八歳の秋、ちいさな驢馬をつれて、南仏の山々を旅しました。その時の経験を描いた紀行文が『旅は驢馬をつれて』になっています。

 旅のモチーフは本作もそうですが、吉田健一の作品にしばしば見られるようになっています。

語りの構造

 語り手は作者の分身めいた等質物語世界の語り手「私」です。本作は語り手がこの間「よし田」という居酒屋で、酒造会社の技師と知り合い、さらに彼に連れられて見知らぬ酒屋で飲むことになり、そこからはしご酒をして酩酊したときの幻視体験を描く内容です。

かように、『吉野葛』のような伝奇風味の語り口で、『過酸化マンガン水の夢』と重なるような、酩酊状態における幻視経験を描きます。

物語世界

あらすじ

 語り手はこの間「よし田」という居酒屋で、酒造会社の技師と知り合い、さらに彼に連れられて見知らぬ酒屋で飲むことになったのでした。

 それから技師に招かれて酒造工場を見学し、そこの二階で開かれた酒宴では、酩酊状態の中で幻想的なヴィジョンを目の当たりにする語り手だったのでした。

参考文献

・長谷川郁夫『吉田健一』

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