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フィッツジェラルド『ラスト・タイクーン』解説あらすじ

S=フィッツジェラルド
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始めに

 フィッツジェラルド『ラスト・タイクーン』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ポー、キプリング、ワイルド、テニスンの影響。象徴主義的ペシミズムとロマン

 フィッツジェラルドはポー(『アッシャー家の崩壊』)、キプリング、ワイルド(『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』)、テニスンなどからの影響を好んでおり、ペシミスティックな世界観が特徴的です。

 本作もポー『群衆の人』のような、生活の孤独を描きます。

コンラッド、ワイルド、アナトール=フランス的リアリズム

 フィッツジェラルドはまた、コンラッド、アナトール=フランス風のリアリズムからの影響が顕著で、特にコンラッドからは強い影響を受けています。

 コンラッドはフランス文学から顕著な影響を受けました。とくにフローベール(『ボヴァリー夫人』『感情教育』)やその弟子モーパッサン(『脂肪の塊』『女の一生』)のリアリズム文学、自然主義文学を好み、フローベール『ボヴァリー夫人』的な、ブルジョワ社会における自己実現をめぐった栄光への野心と破滅の主題は、『闇の奥』においてもクルツの絶頂と破滅という形で継承されています。

 本作はモンロー=スターという映画プロデューサーの孤独な映像と破滅を描きます。語り手は等質物語世界と異質物語世界の語り手が併存し、物語はセシリアによって主に語られますが、それと三人称が併存しています。『闇の奥』のような実験的語りです。

モデル

 1930年代を舞台にした『ラスト タイクーン』は、ハリウッドの映画プロデューサー、モンロー=スターの生涯を描いています。スターはMGMの映画プロデューサーであるアーヴィング=タルバーグをモデルにしています。

 スターは映画プロデューサーとして敏腕を発揮するものの、亡くなった妻を忘れられず、彼女ににたキャサリーンという女性に惹かれるものの、その恋は実りません。やがて業界の仲間から煙たがられてトラブルになり、暗殺者を仕向けられ、その後事故で死にます。

出版まで

 この小説はフィッツジェラルドが44歳で亡くなった時点では未完​​成で、親友であった文芸評論家で作家のエドマンド=ウィルソンが小説のノートを集め、出版のために編集して出版しました。

 その後、1993年、この小説の別バージョンが出版され、これは、フィッツジェラルド研究家のマシュー・J・ブルッコリが編集したF・スコット・フィッツジェラルド全集のケンブリッジ版によるもので、ブルッコリは、著者のメモの解釈に基づいて、計画されていた31章のうち現存する17章を書き直したのでした。

物語世界

あらすじ

 この小説は、ハリウッドの有力プロデューサー、パット=ブレイディの娘で、ベニントン大学の若い学生であるセシリア=ブレイディが、東海岸からロサンゼルスへの帰省の飛行機に乗る準備をするところから始まります。

 空港で、セシリアは父の古い友人である作家のワイリー=ホワイトに出会います。ホワイトには、シュワルツ氏と紹介される売れないプロデューサーが同行していました。

 飛行中のトラブルのため、彼らはテネシー州ナッシュビルに不時着します。3人は、アンドリュー=ジャクソン元大統領の歴史的な邸宅を訪れることにするものの、閉まっていました。ワイリーは、シュワルツ氏がぐっすり眠っている間に、セシリアと戯れ始めます。

 目覚めたシュワルツは、気が変わってロサンゼルスには一緒に行かないと告げます。彼はワイリーに、友人に伝言を届けるよう頼み、ワイリーはそれを受け取ります。

 翌日、ワイリーとセシリアは、ナッシュビルを出発したあとにシュワルツが自殺したことを知ります。

 セシリアは、シュワルツがワイリーに渡したメッセージが、実は彼女の父親のビジネス パートナーであるモンロー=スターに宛てたものだと気づきます。セシリアは長年モンローに片思いしていました。

 セシリアは誕生日パーティーにスターを迎えに父親の映画スタジオに到着します。小さな地震のため、セシリアと父親、そして彼の仲間は全員スターのオフィスに集まります。このとき水道管が破裂し、セットが浸水してしまいました。スターは、2 人の女性が必死に彫像の頭にしがみついているのを目にします。そのうちの 1 人は亡き妻にそっくりだったのでした。

 翌日、スターは秘書にその女性たちを特定させようとします。秘書は彼に電話番号を渡し、スターはすぐにその番号を使って女性の 1 人と会う約束をします。しかしそれは彼が会いたがっている女性ではありませんでした。スターは彼女を家まで車で送り、そこで彼女はスターに、彼女の友人である若いアイルランド生まれのキャスリーン=ムーアに会うように勧めます。ムーアが玄関のドアを開けるとすぐに、スターは彼女が先日の夜見た女性だと気づきます。

 キャスリーンは彼の誘いを拒みますが、スターがパーティーで偶然彼女と再会したとき、スターは彼女を説得して一緒にコーヒーを飲みます。スターはキャスリーンをサンタモニカの新居の建設現場まで車で送ります。キャスリーンはスターと一緒にいることに気が進まないようだったが、セックスをします。

 その後しばらくして、スターは手紙を受け取り、その中でキャスリーンは以前から別の男性と婚約していたことを話します。彼女はスターに惹かれるものの彼と結婚しようとします。

 スターはセシリアに、映画スタジオ内で労働組合を組織しようとしている共産主義者の疑いのある人物との面会を手配させます。スターとセシリアは夕食を共にしながらその男と会うものの、スターは酒のトラブルに遭います。ここでセシリアはスターの面倒を見て、二人は親しくなります。

 しかしセシリアの父親は、スターをビジネスパートナーとして不満に思うようになり、長い間スターを煙たがっていましな。娘がスターに好意を寄せていることも認めません。

 ブレイディは、スターが結婚したキャサリンと不倫関係を続けていることを知っており、会社を辞めるよう脅迫しようとするもののうまくいかず、プロの殺し屋を雇います。スターはこれを逃れ、報復として、殺し屋を雇ってブレイディを殺させようとします。

 スターはしかし良心が咎め、暗殺を中止しようとしたものの、ニューヨーク市への帰途に自分の乗っていた飛行機が墜落します。暗殺者は仕事を終え、セシリアは父親と恋人の両方を失いました。

参考文献

・アンドルー ターンブル (著), 永岡 定夫 (翻訳), 坪井 清彦 (翻訳)『フィッツジェラルド伝: 完訳』

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