PR百田尚樹『夢を売る男』解説あらすじ
エンタメ一般 2024.05.10
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始めに
百田尚樹『夢を売る男』解説あらすじを書いていきます。
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基本情報
あらすじ
敏腕編集者の牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってきます。自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ=ジョブズのようになりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友を見返してやりたい主婦などです。
タイトルの「夢を売る男」というのは、牛河原勘治のことです。彼はベストセラーを夢見る者たちに小説や自伝、詩集の自費出版を持ちかけ、金を引き出します。書籍を発表したい人々を持ち上げ、出版費用を著者と出版社で折半する方式を用います。
所感
放送作家でのノウハウ
百田尚樹は小説がうまい作家ではありません。そもそもそれはあたりまえで、それは異業種作家であるからです。描写力、キャラクターのデザインセンスなど、基礎的な小説スキルは低いです。
とはいえ、それをカバーできる要素があれば通用するのが小説の世界では表現者としてやっていけます。とにかく百田尚樹は、企画の着想のセンスや題材を要領よくコンパクトにパッケージ化する才覚に優れていて、放送作家で培ったノウハウが小説の執筆に生きているのを感じます。
出版業のバックステージもの
本作は、出版の世界のバックステージものです。林真理子『マイストーリー 私の物語』、宮木あや子『校閲ガール』などと内容的には共通しています。
林真理子『マイストーリー 私の物語』は、そのリアリズムで社会風俗を鋭敏に描写してきた林真理子らしく、出版を取り巻く人々のさまざまな見栄や欲望を描きます。自費出版専門の出版社ユアーズ社の編集者太田恭一は、ある日、芥川賞作家である漆多香子から母エリナの自伝を出版して欲しいという依頼を受けます。その原稿には、娘の担当編集者と性的関係を持ったことなどが描かれており、出版後、話題になります。また、死んだ夫の人生を本として残したいと高橋由貴という美しい女性が現れ、出版後すぐにドラマ化され部数も伸びるものの、彼女がAV作品に出ていた過去がネットで騒がれるなどが描かれます。
『マイストーリー 私の物語』も面白いんですが、こちらの方は長編で、それと林真理子は村上龍と一緒で細かい人間心理の描写はうまいものの、構成力が高い方ではないこと、新聞連載でライブ感重視だったことが相まって、作品の焦点が散漫でまとまりに書いています。
本作の方が、短編集でテンポがよく、『闇金ウシジマくん』みたいな感じで、編集者の牛河原勘治を狂言回しにして、さまざまな自費出版に入れ込むキャラクターの欲望や見栄が描かれます。
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