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モラヴィア『無関心な人びと』解説あらすじ

モラヴィア
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始めに

 モラヴィア『無関心な人びと』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドストエフスキーとモリエールの影響

 モラヴィアが影響を最も受けた作家はドストエフスキー(『貧しき人々』『地下室の手記』)でした。ここから、モラヴィアは性愛をテーマにする艶笑コメディを作風とするようになりました。本作も『貧しき人々』『地下室の手記』のように性愛にまつわる男の失敗を描きます。このあたりはドストエフスキーに影響された川端(『眠れる美女』『みづうみ』)と重なります。

 また、モリエールという劇作家からも影響され、そこから同様に性愛にまつわる喜劇を展開しています。

 他にもフローベール、カフカ、ジョイス、プルーストなどからも影響が大きいです。

無関心とは

 『無関心』というワードに象徴されるブルジョワ階級の道徳的空虚と感情の麻痺を本作は描きます。

 登場人物たちは不正、裏切り、搾取、自己欺瞞に直面しても、それを「悪」として本気で拒絶する力を持ちません。行動に結びつく倫理的情動が欠落しています。その結果、自分が堕落していることを知りながら、何も変えられないという自己認識だけが空回りするのです。

 ミケーレは腐敗を認識しているものの、決定的な行為に踏み出せません。カルラは嫌悪しながらも、安定のために妥協を選びます。レオは露骨な俗物ですが、最も一貫した存在でもあります。

物語世界

あらすじ

 カルラとミケーレ=アルデンゴ姉弟は、真の感情を体験することができない二人の若者で、退屈と、家族の衰退への無関心に翻弄されています。

 未亡人となった母マリアグラツィアは、ブルジョワ階級の道徳観念に縛られ平凡な生活を送っています。カルラの24歳の誕生日、母マリアグラツィアの愛人レオ=メルメチは、彼女を酔わせて利用しようとします。しかし、カルラは気分が悪くなり嘔吐し、その試みは失敗するのでした。

 一方、マリアグラツィアは恋人が自分を無視しているのを見て、彼に別の女性がいると思い込み、その女性が友人のリサ(実は、かつてレオの恋人だった)だと勘違いします。

 一方、リサは若いミケーレに夢中です。ミケーレも周囲の状況に我慢できず、レオが母親を罠にかけて家族の別荘を乗っ取ろうとしていることに気づいていても、何も反応できない性分でした。ミケーレはリサの好意を感じ取り、感情移入することなく、ただ受け身で言い寄られるままに身を任せます。

 一方、ミケーレの無関心さに傷ついたリサは、ミケーレをからかうために、カルラと母親の愛人との秘密の情事を告げます。ミケーレは心を動かされるものの、怒りは本心からのものではありません。カルラがレオに犯される姿を想像しても、彼の無関心は揺るがないのでした。

 しかし、ミケーレはついにレオと対峙し、一族の名誉を汚す復讐を果たさなければならないと感じます。銃を買い取ったミケーレは、レオを撃つために彼の家へと向かいます。しかし、弾を込めるのを忘れてレオを撃ち、屈辱と敗北を味わうことになります。

 屋敷がより高い入札者に売却されるのを防ぐため、レオはこれまで築き上げてきた全てを台無しにすることを恐れ、カーラに結婚を申し込みます。カーラはレオを軽蔑し、愛していませんでしたが、自身、母、そしてミケーレの幸福を保証する、裕福で中流階級の新しい生活に惹かれます。カーラは冷たくプロポーズを受け入れ、自分の感情を捨て去ります。

 カーラとマリアグラツィアは仮面舞踏会に出席しますが、マリアグラツィアはまだレオとの結婚を決意したことを母に伝えようとしていません。

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