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バーナード=ショー『聖女ジョウン』解説あらすじ

バーナード=ショー
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始めに

 バーナード=ショー『聖女ジョウン』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

イプセンなどの影響

 ショーは特にシェイクスピアとイプセン(『民衆の敵』『人形の家』)から影響を受けました。

 『ピグマリオン』も特にシェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』へのオマージュやパロディとしての性質があると捉えられていて、その戯曲のミソジニー的なテイストにショーは不服で、『ピグマリオン』はそれへの意趣返しとされます。

 イプセンからもショーは大きな影響をうけていますが、イプセンの作品は問題劇と呼ばれ、これは古典主義的スタイルを重視しない自由は構成と社会批判の特性をはらむことからついた名称ですが、「問題劇」というタームはその特徴の類似(三一致の法則の軽視など)も相まりシェイクスピアの一部作品にも転用されました。

 本作はイプセン『人形の家』のような、女性の自立を描きます。

 ほかにシェリーのロマン主義、ニーチェのシニズムやロマン主義から影響を受けました。

ジャンヌの物語

 ジョウンは神の声を直接聞き、自分の信念に従って行動します。これは、教会という組織を介さずに神と対話するプロテスタント的な精神の先駆けとして描かれています。組織の秩序を守るためには、教会は個人の勝手な啓示を認めるわけにはいかないのです。だから教会よりも、自分の中にある真実が優先されます。


​ ​中世の封建制度では、人々はフランス人である前に領主の家臣でした。しかし、ジョウンはフランス王のために戦うフランス人という意識を民衆に植え付けました。​これは、貴族たちにとっては自分たちの権力を脅かす恐るべき新しい思想として映りました。

進歩主義の寓意

 ショーは、ジョウンを聖女という神秘的な存在ではなく、非常に合理的で意志の強い実務的な天才として描いています。​あまりに有能で、あまりに真っ当な正論を突きつけるため、周囲の凡庸な人々(王や将軍、司教たち)は彼女を疎ましく思うようになります。時代をあまりに先取りした人間はその時代の社会システムによって排除されてしまうという、天才の宿命が描かれています。

 劇中で奇跡とは信仰を育てるために起こる出来事であり必ずしも超自然的な現象ではないという立場を取っています。​例えば、風向きが変わるなどの偶然を、人々が彼女の力による奇跡と解釈することで、士気が高まるプロセスを冷静に描いています。


​ ​この劇の最も有名な部分は、ジョウンの死から25年後、そして彼女が聖人に列せられた1920年を舞台にしたエピローグです。​ジョウンが幽霊として現れ、自分を称賛する人々に「もし私が生き返って戻ってきたら、あなたたちは歓迎してくれますか」と問いかけます。すると、かつて彼女を称えた人々は皆、バツが悪そうに去ってしまいます。社会は常に、真の聖人や天才を殺し続けてしまうという痛烈なテーマが凝縮されています。

物語世界

あらすじ

 1429年、フランスは百年戦争でイギリスに追い詰められていました。農家の娘ジョウンは、神の声を聞いたと称して地元の守備隊長を説得し、意気消沈している王太子シャルルのもとへ向かいます。​彼女は持ち前の度胸と合理的な判断力で、弱気なシャルルを鼓舞。軍隊を指揮する権利を勝ち取ります。


​ ​ジョウンはオルレアンの包囲を解き、シャルルをランス大聖堂で国王として戴冠させるという不可能を成し遂げます。​しかし、勝利を収めるにつれ、彼女は周囲から疎まれ始めます。​王や軍司令官は、これ以上深追いするのは危険だと彼女の猪突猛進ぶりに疲れ始めます。ウォーリック伯などは王ではなくフランスのために戦うという彼女のナショナリズムが、自分たちの権益を脅かすと危惧します。​コーション司教などは教会の仲介なしに神と話すという彼女のプロテスタント的性質を、教会の秩序を壊す恐るべき異端と見なします。


 ​コンピエーニュの戦いで捕らえられたジョウンは、イギリス軍に引き渡され、宗教裁判にかけられます。​法廷で彼女は、自分の声を否定すれば命は助かると告げられ、死の恐怖から一度は悔罪の署名をします。しかし、終身刑を言い渡されると一転。自由のない生に意味はないと叫び、署名を破り捨てて火刑台へと向かいます。


 ​ジョウンの死から25年後、彼女の名誉は回復されます。さらに時は流れ、彼女が聖人に列せられた1920年。シャルル王の夢の中に、ジョウンの幽霊と、彼女を死に追いやった者たちが集まります。​皆、彼女の偉大さを認め、跪いて賛辞を送ります。しかし、ジョウンが「そんなに私を愛しているなら、今すぐ生き返って戻ってきましょうか」と提案した途端、彼らは顔色を変えて言い訳を並べ、逃げ出してしまいます。

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