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サン=テグジュペリ『夜間飛行』解説あらすじ

サン=テグジュペリ
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始めに

サン=テグジュペリ『夜間飛行』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義、象徴主義

 ロマン主義のヴェルヌ、アンデルセン、ユゴー、象徴主義のマラルメ、ヴェルレーヌ、ボードレール写実主義のドストエフスキー、ボードレール、無神論のニーチェなどサンテグジュペリは影響されました。

 特にヴェルヌとアンデルセンに熱中しました。ヴェルヌの乗り物での冒険のプロットや、ロマン主義的テイストから、影響されました。

 アンデルセンは、ロマン主義的な童話で知られ、本作もロマン主義的な、人生の意味や真の幸福をめぐる主題の童話です。

 また象徴主義の寓意性からも本作は影響が顕著で、そのあたりは象徴主義の詩人で童話作家のメーテルリンクを連想します。

伝記的背景

 この本は、サン=テグジュペリが航空郵便のパイロットとして、またブエノスアイレスを拠点とするアエロポスタ=アルヘンティーナ航空の取締役として経験したことに基づいています。

 登場人物は、サン=テグジュペリが南米で働いていたときに知り合った人々がモデルで、特に、リヴィエールのキャラクターは、航空会社のオペレーションディレクターのディディエ=ドーラをモデルにしています。

会社支配人の苦悩

 タイトルからすると飛行士の話に見えますが、そうではなくて夜間飛行を展開する航空郵便会社の社長リヴィエールを中心とする物語で、そこからパイロットの活躍も描かれます。

 リヴィエールは印象的なキャラクターで、嫌われ者の厳しい上司を演じ、郵便飛行の未来と飛行士の命を守るべく、使命感からさまざまな感情を押し殺そうとしています。けれども、自分の権限で部下をクビにしたり、処分したり、また命令による夜間飛行によってパイロットを死なせてしまったりしたために、リヴィエールは何度も苦悩と迷いに襲われます。

 本作はそんなリヴィエールの受難と決意を描くドラマです。

物語世界

あらすじ

 パタゴニアから、飛行士ファビアンの操縦する飛行機がブエノスアイレスへと帰還しようとしています。

 ブエノスアイレスでそれを待つ支配人リヴィエールは部下に常に冷徹で、時間の遅れや整備不良を許さず、厳しい処分をします。嫌われ者の上司に睨まれることで現場の規律が保たれる、と彼は考えています。しかしつねに不安があり、郵便飛行の未来と飛行士の命を守るべく、使命感から不安を押し殺してそう振る舞っていました。

 一方、リヴィエールの部下で監督のロビノーは、愚鈍な男でした。飛行士たちに対して、リヴィエールが作った規則をただ押しつけることと、従業員のあら探しをして報告することだけが仕事でした。しかし飛行士ペルランの姿をみて、自分に疑問を抱きます。ロビノーはペルランに自分の苦悩を打ち明けようとするものの、リヴィエールはロビノーの公私混同を許さず、ロビノーにペルランを処分する報告書を書かせます。

 リヴィエールもまた孤独に苦しみます。リヴィエールは、夜空に光る星にメッセージを感じるものの、それを理解する人はほとんどいません。

 リヴィエールは、整備不良のかどでロブレという整備工を解雇します。荷役係なら雇えるとリヴィエールは言うものの、老人はそれを受け入れません。リヴィエールは懇願するロブレに対し、厳しく解雇します。迷いが起こるものの、現場の配線ミスの報告を受け、あらためてロブレの解雇の決意を固めます。

 そのころ、今夜発つ欧州便の操縦士は妻と語り合っています。やがてリヴィエールが操縦士を部屋に呼ぶと、内心では暴風雨に立ち向かう彼の勇気を賞賛しながらも、危険などないと叱責し、彼を鼓舞します。

 ファビアンの操縦するパタゴニア機が暴風雨に遭遇します。やがて暴風や雷雨で通信が途絶え、ファビアン機は完全に消息を絶ちます。やがていつものようにファビアンの安否を確かめるため電話したその妻シモーヌに対し、リヴィエールは端的に事実を告げつつも、夜間飛行に飛行士を犠牲にする価値はあるのかと苦悩します。

 ファビアン機は帯電により通信不可能な状態でした。ファビアンは雲のさらに上空まで上昇を試みます。通信は一時復旧したものの、燃料が三十分しかもたない絶望的な事態を伝えることしかできませんでした。

 シモーヌがリヴィエールに面会を求めます。リヴィエールは彼女をなだめますが、事態は絶望的です。やがてファビアンからの連絡は途絶え、そのまま燃料の限界時間になります。リヴィエールはうなだれて、ロビノーに一人にするよう伝えます。

 やがてロビノーは、リヴィエールを慰めようと、ふたたびリヴィエールのいる管理人室を訪れます。しかしリヴィエールの表情は強い意志を伝え、郵便飛行の続行を告げます。

 離陸を延期されていた欧州便の操縦士に、続行の報せが届きます。恐怖を乗り越えた操縦士は、夜間飛行へと旅だちます。事務室には、確かな覚悟を伝えるリヴィエールがいました。

参考文献

・ステイシー=シフ (著), Stacy Schiff (原名), 檜垣 嗣子 (翻訳)『サン=テグジュペリの生涯』

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