始めに
ツルゲーネフ『初恋』解説あらすじを書いていきます。
背景知識
ロマン主義から写実主義へ
ツルゲーネフが影響されたのはロマン主義の作家(ゲーテ、プーシキン、レールモントフ、バイロン、シラー、ヘーゲル、シュレーゲル)やその前史としての作家(シェイクスピア)などで、そこから写実主義を展開していきました。
ロマン主義から写実主義へ、というこのあたりの特徴は盟友で親交のあったフローベール(『ボヴァリー夫人』『感情教育』)と共通です。
語りの構造
本作は40歳代の主人公ウラジーミルが、自分の16歳の頃の初恋について回想し、友人たちに向けた手記という形式になっています。
そのため語り手は手記の書き手であるウラジミールです。
若かった頃のウラジミールのコケティッシュなヒロインへの恋を描きます。
自伝的要素
田舎での隣人エカテリーナ=シャホフスコイ公女(ジナイーダのモデル)への恋が実際にあり、それがモデルになっています。エカテリーナが実は自分の父親の愛人であることが分かるまで、この恋は続きました。
実は恋する女性が父親の愛人だったという展開はこれを踏まえています。
物語世界
あらすじ
1833年夏。16歳の少年ウラジーミルは、モスクワ市内、ネスクヌーイ湖のほとりの別荘で両親と住んでいます。
ある日の事、隣に引っ越してきた5歳年上の美しい女性、ジナイーダに惹かれます。ジナイーダはコケットで、彼女に惹かれた何人もの「崇拝者」達を自身の家に集めては、楽しんでいました。彼女の家に行ってそれを知るウラジミールですが、むしろ恋心はつのるばかりです。
ジナイーダは主人公の気持ちに気づきながら、主人公を弄ぶばかりです。しかし、様子がおかしいジナイーダを見て、主人公は直感します。彼女は誰かと恋に落ちのです。主人公は疑心暗鬼にさいなまれます。
ジナイーダの態度は、なぜか主人公に対してだけ特別でした。ジナイーダにとって主人公と接するのがつらそうでした。
ある日、彼女の恋の相手の情報を掴んだ主人公は、嵐の晩に彼女の家のそばの茂みで待ち伏せします。その男は、ウラジミールの父でした。
やがてウラジミールたちは、モスクワから引き越すことになります。崇拝者の一人が主人公の父親の不倫を触れ回ったためです。そのとき主人公はジナイーダに出会って話し、ウラジミールはジナイーダへの崇拝を伝えます。
ウラジミールは、乗馬に出かけた父がジナイーダと密会するのを目撃します。ジナイーダが、ここまで追いかけてきたのでした。彼女と口論していた父は、手に持っていた乗馬用の鞭で彼女の手を打ち、ジナイーダは無言で去ります。この物陰から様子を見たウラジミールはこれが恋なのだと知ります。
やがて父が亡くなります。亡くなる前、父は母に懇願して、ジナイーダに金を送って貰ったのでした。
数年後、主人公は「崇拝者」の一人と再会し、ジナイーダの現在を知ります。すでに誰かと結婚して、近くにいるそうです。久しぶりに会いに行こうと思うものの、先延ばしにしてしまいます。そして
ウラジミールが会いに行くと、ジナイーダが数日前に急死したと知ります。これに衝撃を受けるのでした。
ジナイーダの死のすぐ後、同じアパートに住む貧しい老婆の死に立ち会います。彼女は、死の瞬間、苦しみや恐怖から開放されたようでした。それを見て、ジナイーダや父、自分自身のためにも祈りたくなります。




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