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尾崎紅葉『金色夜叉』解説あらすじ

尾崎紅葉
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始めに

 尾崎紅葉『金色夜叉』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

硯友社の戯作

 尾崎紅葉は硯友社のリーダー格で、そこから江戸文芸の戯作文学を参照しつつも、リズミカルな口語によるメロドラマを展開しました。

 戯作文学における人情本は俗っぽい感じのメロドラマでしたが、本作はそうした通俗メロドラマからの影響が見える内容です。

元禄文学の影響

 近代になって、明治二十年代ごろ(1887~96)や1900年代前後に、日本の江戸文芸である元禄文学が着目されていきます。

 これはナショナリズムの高まりと連動していて、井原西鶴や近松門左衛門のリアリズムが再度着目され、西洋文学とすりあわされるなかで再解釈されていきました。

 最初の元禄文学ルネサンスには一葉(『たけくらべ』)と紅葉、露伴(『五重塔』)、第二の波では自然主義の作家が元禄文学を参照にして、リアリズムを展開していきました。

 本作もこの元禄文学再評価の流れに影響されて、元禄文学のリアリズムから影響されました。

家庭小説

 明治20年以後、各新聞が家庭小説という通俗小説を掲載します。女性を主人公とするセンチメンタルな内容が多いですが、とはいえ新聞連載という発表媒体とそれにともなう家庭中心のモラルというテーマの方がジャンル全体の傾向としていえます。源流は、米国のダイムノヴェルという女性向け通俗小説で、そのさらに源流が感傷小説というイギリスの感傷的なメロドラマです。

 ジャンルの代表作は蘆花『不如帰』と尾崎紅葉の『金色夜叉』です。他に代表的な作家に菊池幽芳、半井桃水、村井弦斎、武田仰天子、原抱一庵、草村北星、小栗風葉、泉鏡花、徳田秋声、田口掬汀、渡辺霞亭、柳川春葉、江見水蔭、村井弦斎、小杉天外などがいます。

種本

 堀啓子がバーサ・M・クレーことシャーロット・メアリー・ブレイム の 『女より弱きもの』が本作の種本であることを解明したことが知られています。

 寝取られてから主人公のほうが地位と富を得て、別れた女が悪い境遇になってすがってくるものの、恨みを忘れずに無下にする、みたいなプロットが共通しています。

モデル

 主人公の間貫一のモデルは児童文学者の巖谷小波とされます。

 小波には芝の高級料亭で働いていた須磨という恋人がいたものの、小波が京都の新聞社に赴任している間に、博文館の大橋新太郎(富山唯継のモデル)に奪われてしまいます。ここで友人の紅葉が怒って料亭に乗り込み須磨を足蹴にして、熱海の海岸のシーンのもとになっています。

物語世界

あらすじ

 高等中学校の学生の間貫一の許婚であるお宮は、結婚を間近にして、富豪の富山唯継のところへ嫁ぎます。激怒した貫一は、熱海で宮を問い詰めるものの、宮は本心を明かしません。貫一は悲憤して、「一生を通して、一月十七日は僕の涙で必ず月を曇らして見せる。月が曇ったらば、貫一は何処かでお前を恨んで今夜のように泣いていると思ってくれ」と言葉を投げて宮と別れ、学業を廃して、行方をくらませます。

 貫一は復讐を思い、強欲非道な高利貸鰐淵の手代となり、残酷な商売にしたがい、自金持ちになって、恨みを晴らそうとします。宮は富山と結婚し、金に目がくらむものの、心は満たされません。

 4年後、2人は相見て、宮は、貫一の恨みをとくためにこの境遇をすてようと思います。貫一は、鰐淵が火事で死んだことから仕事を受け継ぎ、宮の悔悟の手紙を受け取ろうともしません。しかし、親友荒尾譲介から、宮の心情をつたえられて貫一も動揺し、暁の悪夢のなかで悔悟の自殺をした宮に、赦すという言葉を与え、キスをします。

 心はますます苦しくなるものの、用事で塩原へ出向き、温泉宿の隣室で男女が心中するのを助けます。その女は富山唯継のえじきになりかけていて、貫一は宮の不幸な状況を知ります。宮はまた思いの丈を訴えた手紙を貫一のもとに寄こします。

(未完)

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