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ロアルド=ダール『オ・ヤサシ巨人BFG』解説あらすじ

ロアルド=ダール
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はじめに

ロアルド=ダール『オ・ヤサシ巨人BFG』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ダールの作家性

​ サキはイギリスの短編作家で、残酷さとブラックユーモア、そして社会への冷笑的な視点がダールの作風と共通しており、最も大きな影響を与えた一人とされています。またダールはモームの物語の構成力と、人間の本性を冷徹に見つめる視点を高く評価していました。ほかに物語の最後に見事なひねりを用意する手法において、ダールはオー・ヘンリーの手法を参考にしています。


 ​ダールの子供向け作品に見られる抑圧された子供と奇怪で恐ろしい大人という構図は、イギリス文学の伝統を引き継いでいます。ダールはディケンズを愛読しており、特に『オリバー・ツイスト』などに見られる過酷な環境に置かれた子供の描写や、個性的で誇張された悪役の造形に影響を見て取ることができます。ダールはヘミングウェイの簡潔で無駄のない散文スタイルを尊敬していました。


​ ダールのアイデンティティに欠かせないのがノルウェーの民話です。ダールの両親はノルウェー人でした。幼少期に母親から聞かされた北欧の古い民話やトロールの物語は、彼の作品の根底にある少し不気味で魔法のような世界観を育みました。

見た目と内面

 BFGは恐ろしい姿をした巨人ですが、中身はベジタリアンで心優しい存在です。一方で、他の巨人たちは見た目通り残虐です。主人公のソフィーは孤児院に暮らすかよわい女の子ですが、巨人に物怖じしない勇敢さを持っています。外見や立場だけでその人の本質を判断してはいけないという強いメッセージがあります。

 ソフィーは孤児で居場所がなく、BFGも他の人喰い巨人たちから仲間外れにされている孤独な存在です。社会のはみ出し者同士が、人間と巨人という高い壁を越えて深い友情を築き、互いの欠けた部分を補い合います。

成長譚

 BFGの仕事は、網で捕まえた良い夢を子供たちに吹き込むことです。ダールは夢を、過酷な現実を生きる子供たちへの希望や、想像力の象徴として描いています。

 人喰い巨人たちは純粋な悪として描かれますが、BFGは作中で人間だって戦争でお互いを殺し合っていて、巨人は仲間同士では絶対に殺し合わない、という鋭い指摘をします。単なる勧善懲悪にとどまらず、人間の持つ矛盾や残酷さをユーモラスかつ辛辣に批判しています。


​ ​ダール作品に共通するテーマですが、強大な力を持つ大人に対して、ソフィーという小さな子供が知恵と勇気を振り絞って作戦を立て、世界を救うために行動します。子供には世界を変える力があるという、子供の主体性を肯定するテーマです。

物語世界

あらすじ

 ​ロンドンの孤児院に暮らす少女ソフィーは、ある真夜中、窓の外にたたずむ恐ろしくて巨大な影を目撃してしまいます。その影の正体は、1本の大きなラッパを持った巨人でした。見つかったことに気づいた巨人は、秘密を知られたソフィーをベッドごとつかみ上げ、ものすごいスピードで遠い巨人の国へと連れ去ってしまいます。


​ ​食べられてしまうと怯えるソフィーでしたが、その巨人は意外にもとても心優しい性格でした。彼の名前はBFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)。巨人の国には他にも9人の凶暴な巨人がいますが、BFGだけは人間を食べないというポリシーを持っていました。彼はまずいひねくれきゅうり(スノズカンバー)ばかりを食べ、夜な夜な子供たちの部屋の窓からラッパで素敵な夢を吹き込む仕事をしていました。孤独だったソフィーと、巨人たちの中で孤立していたBFGは、すぐに心を通わせ、大親友になります。


 ​しかし、他の9人の巨人のリーダー「肉ちぎり巨人」たちは、BFGより何倍も大きく、毎晩のように世界中の人間(特に子供たち)をシリアルでも食べるかのようにムシャムシャと食べに出かけていました。これ以上子供たちが犠牲になるのを放っておけないと決意したソフィーとBFGは、人喰い巨人たちを退治するための、ある突拍子もない大作戦を思いつきます。


​ ​ソフィーの発案で、二人はイギリスの女王陛下に協力を仰ぐことにします。BFGの夢を調合する能力を使い、女王陛下に人喰い巨人が子供たちを誘拐し、それをソフィーという少女とBFGが解決しようとするという、リアルな予知夢を見せたのです。


 翌朝、夢から目覚めた女王の寝室の窓辺に、本当にソフィーとBFGが姿を現します。夢が本物だと確信した女王は、二人を大歓迎し、巨人を捕らえるためにイギリス軍を動かすことを決意します。​


 ​BFGの案内で、軍隊は巨人の国へと向かいます。お腹いっぱいで昼寝をしていた人喰い巨人たちは、ソフィーとBFGの機転、そして軍隊の連携によって、一人残らず頑丈なロープで縛り上げられました。巨人たちはロンドンへと空輸され、掘られた巨大な深い穴の中に閉じ込められます。彼らへの罰として、それ以降はBFGが食べていたあのまずいひねくれきゅうりだけが与えられることになりました。


 ​大活躍したソフィーとBFGには、女王から素敵な家がプレゼントされ、二人はお隣さん同士として末永く幸せに暮らします。そしてBFGは、自分たちの冒険を1冊の本に書き上げました。その本こそが、この『BFG』という物語です。

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